第5話 変更後
この国にある2番目に高い塔を破壊すると政府が中心となり各地の塔を撤去し始めた。
塔が無くなれば爆発は起きないとでも思ったのだろうか?
国中の電波塔が撤去されテレビ、ラジオなどの通信に障害が発生した。
地域によってはテレビの見られない場所もふえた。
テレビは主要メディアとは呼ばれなくなり地方局は動画配信に力を入れ始め形態を維持できなくなった。
大きな爆発により流れが変わったが面白くない、せっかくたどり着く先が見えそうなところで国による妨害工作がはじまった。
怯えた様なくだらない思想が蔓延して地上を汚し始めた。
何かが腐りだしている。
ターゲットを変えることにした。
教育機関を破壊することにしたのだ。
手始めに学校を破壊する。
以前から考えていた圧縮による破壊で警察署のときとは違う巨大な爆破を起こし時間差で強制収束させることで美しい半球状のクレーターが出現することに気が付いた。
爆風も起こさずに消えるようにそこがなくなるのは神秘的な演出となるだろう。
教育機関が被害を受けることで起こる変化が世の中に作用して疑問の正体が見えるかもしれない。
とある小学校が見えるマンションの屋上に上った。
最近では(爆)をコントロールすることで高くジャンプすることが可能になった。
放課後の小学校で帰りの放送が響く。
16時と決めていたので巻き込まれる児童は残念だが運がないのだ。
理不尽でも受け入れるしかない、悪に分類されたものが時間を決めたのだ。
そう、時間が決められ事故にあうだけだ。
校庭では複数の子供がボール遊びに興じていて教師に早く帰れと促されている。
時間だ。
一瞬の閃光爆発は瞬時に収束され校舎を中心とした半径200メートルが跡形もなく消え去り薄くこそげたクレーターが夕日に照らされむき出しの地面がきれいなオレンジ色である。
間に合った子供は消えてしまった学校に理解が追いつかず放心して座り込んでいる。
このマンションの住民が廊下側から顔を出しその光景に騒ぎ出した。
全国ニュースで学校消失が公になると全国の学校で登校拒否が始まった。
生徒だけじゃなく教員まで出勤しない事態に役所が命令を下しタワー爆発とは無関係と発表した。
剥き出しのオレンジには規制線が張られることは無いようだ。
2週間は傍観していたが何の解決手段も見出せないまま平常どおり授業は続けられており次のターゲットの時間を決めた。
11時に決行する。
ターゲットは東北地方の塔があった都市だ。
今日は平日で生徒たちは空腹なまま消滅した。
学校は軒並み閉鎖になりオンラインでの授業が始まった。
箱物としての校舎はほとんどが廃墟となり買い手が付かないまま放置状態だ。
隣の国でも同じ事をした。
一年かけて世界の主要都市で爆発を起こした。
原因がつかめない国際社会は疲弊した。
次に飛行機を同時に240機爆破した。
移動を制限する事で人間の思考を停滞させ世界にストレスを与える。
世界は新しいバランスを作り出し、以前と比較する事でなんらかのヒントが現れることを望んでいる。
大量同時爆破には労力を使った。
己の力でコントロール可能な圧縮爆弾は百程度、その倍以上必要なのだ。
あるベンチャー企業を使い世界中でバイトを募集して圧縮爆弾を飛行機に乗せる。バイトは爆弾とは知らない。
世界同時クリスマスプレゼントプロジェクトなどと言う下らない企画をでっち上げた。
時間指定でクリスマスの日に同時多発的に(爆)を発動させ航空業界は飛行を停止した。
人間は土地に縛られた。
世界中の空は澄み渡り21世紀の最速の交通手段は消え去った。
圧倒的海軍力の国が世界の覇権を握り海上交通が盛んになると世界の構造は変化し始める。
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