第10話 作戦実行
ー廊下ー
「あんなちゃん、ちょっといい?」
「うん、どうしたの?」
「ちょっと来て欲しいんだ」
ー兄の部屋ー
「なんで、かなとくんの部屋に来たの?」
「だってほら、あんなちゃんアニキのこと好きだしさ、つい最近のことでもアニキのこと知っておきたいかなーと思って連れてきたんだ」
「あら、そうなの?ほんと役に立つわー、やっぱり上下関係って大切よねー!それで?私に何を教えてくれるの?」
こいつなかなかの腹黒さだわ。上下関係とか決めてて草。
「このぬいぐるみとかは兄の誕生日に私がプレゼントしたんだ!どう?か、可愛いでしょ」
「そうかしら?全然たいしたことないけど。これのどこが可愛いのか逆に教えて欲しいわ!かなとくんたらこんなもの貰っちゃってかわいそー!」
よし、いい!いい感じだ!面白くなってきたー!
「そっか、そうだよね。私不器用だからこんなことしかアニキにしてやれなくてさ」
「ほんと、私がかなとくんに作ってあげたぬいぐるみとはレベル違いすぎだわ!あはははは!」
よし、今だ!
ガラン
「俺の部屋で何してんの?」
ウオ〜!ちょうど15分だ!
すると、
「グスッ......かなとくーん!かなこちゃんがね、私の作品を見て私より下手くそだって言ったのー!」
これは予想外だわ......。
だが、ここからが面白いところ。
「おい、かなこ!そんなこと言ったのかよ!あんなが可哀想だろ!謝れ!」
そう兄は怒る。
「私が本当にしたと思ってる?」
私がこう聞くと、
「ほんとなんだよ!?かなこちゃんが私のぬいぐるみ捨てようとしたり......」
「お前!捨てようとしてたのか!?くっそ、いい加減にしとけよ!そんなことするとか人間失格だな! 」
そこまで兄に言われると傷つく。
だって本当に私は何もしてないからな。
よし、作戦1。
「アニキは、まぁ、あんなちゃんは可愛いし、すぐ泣くから、あんなちゃんの味方になるんだろうけど、良かったらこれ、聞くか?」
それは、あらかじめ私がパジャマのズボンの後ろポケットに入れておいたスマホだ。
私はカメラアプリの動画を使って録音しておいたのだ。
「なんだよ!それ! 」
兄はまだ私に怒っている。
一方あんなちゃんのほうは............?
グフフ、少しあわててるな!
「聞くの?聞かないの?」
「かなこちゃん、それは......」
「あんなちゃんはちょっと黙ってて」
「じゃあ、聞く」
「それではいきまぁーす!」
ポチッ
《だから、かなこちゃんは私の本性とかバラしたり、何かと邪魔しに来ないでね。もし、邪魔したらどうなるかわかってるわよね?》
「はっ?なんだよこれ?」
そしてあんなちゃんは真っ青になってうつむいている。
ダメだ......にやけてしまう......。
《あら、そうなの?ほんと役に立つわー、やっぱり上下関係って大切よねー!それで?私に何を教えてくれるの?............》
そして全部ながした後、あんなちゃんはさっきよりもっと真っ青になっている。
やっべー、ちょっと......ダメだわ。
何年もこういうことを受けてきたからそれを思い出してきた......。
泣いてしまう......。
「あんな、離れろ」
「えっ、待って!違うのよ!そ、そうそう!これはお芝居の練習!」
「かなこが今泣いてるのにまだ誤魔化そうとしてんのか?あきれたしうざいわ。かなこ、怒って悪かったな......。しかも、かなこが俺のために作ってくれたプレゼントをボロカスに言ってることが1番腹立つわ。2度と俺と、俺の妹に近づくな」
そして、あんなちゃんは泣いてしまい、お母さんが来て私たちが説教された。
意味わからん。
そして、兄からめっちゃ謝られ、少し仲が良くなった。
あんなちゃんは日帰りで来ていたから、もう帰ったのか。
そして、アニキにあげたぬいぐるみを1度解体してカメラをしかけてた作戦2のことは忘れていた。
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