第9話 いとこ

............。

........................。

はぁー、しょうもない休日だ。

「かなこー?今日あんなちゃん来るらしいから早めに着替えて朝ごはん食べるのよー!」

「あんなちゃん......」

あんなちゃんは、私のお母さんのお姉さんの娘で、今私と同じ高校1年生。

簡単に言えばいとこだ。

あんなちゃんがくるのかー。

......あ、いけないいけない!

来るなとは思わないけど、あんなちゃんは昔から兄のこと好きだからなー......。

兄も兄で気が強くなってるから余計なことしなきゃいいけど。


ー30分後ー

ピンポーン

「あら、もう来たのね!かなこー?あんなちゃんが来たわ!出てくれなーい?」

「わかったー」

ガチャッ

「あんなちゃん、いらっしゃい」

「かなこちゃん!お久しぶり!お邪魔します」

そしてあんなちゃんは玄関に入り、靴を脱いだ。

「あんなちゃん、ほんと久しぶりだね......」

「そうだね!みんな元気だった? かなと君の方は? 」

はい来ました、兄に関する質問の嵐......。

「あー、かなともお母さんも元気だよ! 」

「かなと君、今好きな人とかいるのかな?」

「い、いなさそうだよ、性格から見てモテる人でもないしね」

「そうだよね!まだ私にはチャンスがあるわ」

これだけで体力消耗するのも時間の問題だな。

「あ、あんなだ。久しぶり、来てたんだな」

兄、今来ちゃダメだ......。

今来たら......

「かなとくーん!」

そう叫びあんなちゃんは兄に抱きついた。

「オーウマイガーーーー! 」

っていうか、私と兄との接し方が違うのはなぜだ?

これ以上見てらんねーわ。

私違う類だし。

見てて引くけど、これを見るのも慣れたもんだ。

「おい、やめろやめろ。こんな玄関の前でー」

そう兄は言いあんなちゃんは離れた。

あ、離れたと言っても常に兄にベッタリだ。

私とは話そうともしない......。

私は身内の人にも好かれないのか......。

「ねーぇー、私可愛くなったと思わなーい?」

「あー、はいはい、可愛い可愛い」

この会話聞くのも何回目だろうか。

飽きたから部屋に戻るか。


ー部屋ー

まぁ、あんなちゃんが可愛くなったわけじゃないと言ったら嘘になる。

だが、問題は............


ガチャッ

「かなこちゃん!ちょっとお話しない? 少しの間だけ!」

その少しの間だけっていうのも嫌味ったらしい言い方だな。

まぁ、私の場合どうでもいいし気にしないが。

「うん、そうだね! 久しぶりだからね」

「......かなこちゃん、私ね前からかなとくんのこと好きって言ってたじゃん? 」

「そ、そうだね。言ってたね! どうかしたの? 」

「私ね、今日ここに来たいって言った理由は、かなとくんに告白したかったからなの」

あっそ、私にはどうでもいいけどね。

「だから、かなこちゃんは私の本性とかバラしたり、何かと邪魔しに来ないでね。もし、邪魔したらどうなるかわかってるわよね? 」

フッフー、さすがあんなちゃん私の前では本性出しまくりだ。

怖い通り越してこれ聞いてると楽しいわ。

「う、うん、わかってるよ」

「じゃ、よろしくねー!」

そう言ってあんなちゃんは笑顔で部屋を出ていった。

今話終わって良かったが、今度は兄が危険だ。この本性を知らずに兄が付き合ってしまったら............。

あ、こういう時にあれをすればいいじゃん!


ー夕飯ー

あんなちゃんが兄やお母さんたちと仲良く話している間に、私は頭の中で作戦をたてよう。

私にはとても難しい、というか鳥肌がたつような嫌な作戦だが、これも兄のためだ。

あんなちゃんは、いつも喧嘩ばっかしている兄妹だと思ってるだろうな。

いざとなったらこうやって助け合うんだよ。

兄妹を舐めるなよ!


ー夕飯後ー

兄は風呂に入っている。

今10分たったところだな。

兄はいつも15分頃に上がるんだ。

それに、兄と私の部屋は2階にあるし、お母さんとお父さんの部屋は1階にあるからバレやしない。

それと同時にあんなちゃんの本性をバラしたいのだが、兄が風呂を上がる時間なんて分からない。

こういう時にあれだな!

よし、作戦実行だ!








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