第8話 夏休み後の出来事

イヒヒ!

あのアニキが祭りを回ってくれるなんて優しいじゃねえか!

今日から夏休みだな......。

何をしよう??

やっぱりあれだな、恋愛DVDを見よう!



[ずっと前からお前のことが好きなんだったんだよ!だから付き合ってくれ! ]

えへへ......

「すっげーいい!こんな物語現実にはねーよ!」

[君の気持ちを聞かせてくれ......]

「えへ、えへへへへ、私の気持ちはもちろん......」

[ごめんなさい!あなたのようなイケメンでも陰キャだと無理なの! ]

「何でふるんだよ!イケメンだぞ!?ふるとかもったいねーだろーが!」

ドンッ!ドンッ!と、兄が壁を蹴り、

「うっせーぞ!かなこ!静かにしろー!」

「お前が黙れ!どうせ下ネタDVDとかみてニヤニヤしてんだろ!?それで私の声に邪魔されたから怒ってるんだろ!?」

「んなわけねーだろうが!いい加減にしろ!

お前が恋愛DVD見てるだけだろが!お前が見てただけでなんで俺まで見てたことになるんだよ!ふざけんなよ!カス! 」

......フッ、素直じゃねーな、見てたくせに!

まあ、部屋が隣同士だし壁薄いからなー、聞こえるのは当たり前か。

それにしても恋愛DVD最高だな!

なにか新しいことでも初めて見るか?



こうして夏休みが終わり、新学期......


はぁー、全然変わんねー。

「ちょーお久じゃん!」

「それな!元気にしてた?」

「いや、元気じゃなかったら私ここにいねーし!」

「はっはー!言えてるー!」

こいつらの脳みその腐れ具合も変わってねーな。

相変わらず何語話してんのかわかんねーよ。

いつの時代だよ、今は今でちゃんとした日本語があるだろうが。

「私今日痴漢にあっちゃってー!まじやばくない? 」

「まじでー?私らより年上のくせに社会の常識守れっての!」

ちょっと中年オヤジにケツ触られたくらいでそんなに騒ぐことねーだろ。

モテないこっちにしちゃ迷惑な話題だよ。

それともモテ自慢がしたいだけなのか?

そんな変態な中年オヤジに好かれて嬉しいのか?

変わった奴らだな。

だったらいっそ、そのまま3年間痴漢されとけ。



でも、こんな私でも痴漢されることはあるだろう。

だったら帰りに、試してみるか。


ー帰りの電車ー

プシュー......

よし、人は少ないが中年オヤジは充分過ぎるほどいる!

よしっ!

まずは中年オヤジが立っている向かい側に立つ。

ケツを突き出す。

......あ、中年オヤジのケツに当たっちゃった。

まぁ、これでどうだ?

「......」

無反応か、だったら2回ほどケツを当ててみるか。

トン、トン......

これでもか?

だったら......

トントントントントン

連続でやればもう意識するだろう。

パシッ!

な、なんだ!?腕を掴まれた!?

「この人痴漢でーす!」

中年オヤジがそういうと、みんなが振り向いた。

うわ、こんな奴をターゲットにした私が馬鹿だった!

元々こんな奴に興味のかけらもねーし!

そして電車は止まり、駅員さんが来た。

「ちょっとちょっと、どうしたんですか!?」

「この人が俺のお尻に何回も当たってくるんです」

「本当ですか? 」

「いえ、あの、カバンの整理をしてたので......その時に当たってしまったのかもしれませんね.....................」

「はぁー、勘違いですね、○○さんも黒山さんも今後気をつけてくださいね!」


ー家の部屋ー

くっそー、あいつに痴漢しなけりゃよかった。

たいした顔でもないしたいした仕事場じゃ無さそうだし、全体的にもうただの中年オヤジだわ。

あんな奴に興味ある女子高生なんてこの世にいねーよ。

だが、結局痴漢をしたのは事実だ............。

「おい!アニキ!」

「だから、アニキって呼ぶなって!」

「アニキ、女子から痴漢されたことあるか?」

「は?ねーよ」

「じゃあ、痴漢したことはあるか?まぁ、アニキがやる可能性はあるが。」

「ふざけんな痴漢するわけねーだろうが!だいたいなんでそんなこと聞いてくれてんだよ!」

「されてなかったらもうお前に用はない」

ガラン

「くそ、うっせーよ!」

あ、そういえば、こんなに痴漢のこと聞いて何が嬉しいんだ?何を得するんだ?


そう考えるなら......









よし、やめよう。








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