第7話 祭り
もう7月だー。
いい加減に両思いの人くらい見つけないともうすぐ夏休み前の祭りがある......。
そこではバカップルが無駄にイチャイチャしてるんだろうなー。
見てて引くだろうけど。
だが、私も正直に言って両思いの人くらい見つけたい。
祭りは思いっきり楽しむものだ。
絶対見つけてみせる!
例え好かれなくてもそいつを誘ってみせるんだ!
ー学校ー
「えーでは、事故や事件を起こさないように気をつけてください。ではホームルーム終わり」
「ねぇねぇ、私たち今日カフェ行けないかもぉー、祭りでの浴衣の着付けしないと行けないしぃー! 」
「あー、たしかにな!浴衣姿みたいしなー!だったら女子3人組は浴衣の着付け、俺たち3人は寂しくカフェだな! 」
「うわー、まじかよー」
って、横でギャーギャーうっせーなお前ら。
さりげなく女と一緒にいたいアピールするなよ。
それに、女も女で浴衣着なくても充分楽しめるってんだ!
男を惚れさせようとしてるかわからんが調子乗るのもいい加減にしておけよな。
どーせ、女は心の中で狙ってる男を取れるように頑張ろうとか思ってんだろ?
だったらさっさと付き合ってさっさと別れろ!
お互いを口説いてんじゃねーよ。
それより私も、誰かを誘わなければ!
絶対誰かと祭りに行ってみせる!
夏休み前だ、いい思い出を作る!
ー放課後ー
トボトボ......。
無理だった、誰も誘えなかった。
今日の祭りどうするか......。
......そうだ!1人でも祭りは楽しいのかもしれない!
1人で行くか、1人でいたら知らない人に声をかけられて、一緒に花火を見る。
完璧だ!
ー祭りー
まだ来るのは早かったか。
だが、今から食べてる人もいるな。
4時だ、今からでも誰か誘えるかもしれない。
誰かいないかー、誰か......。
あ、イケメンが1人でいる!?
珍しい光景だ!
私から誘って一緒に祭りを楽しむのもひとつの手だな!
よし、誘うか!
「あ、ああああの......い、一緒に花火を......」
「あー!たけるー!おまたせー!」
「おー!はな!こっちこっち!」
うぉ!あっぶねー!人の彼氏を誘うところだった......!
「ん?この横にいる子知ってる子? 」
いやいやいや、こんな地味をこんな爽やかな人が知っているはずが......
「こんなやつ知らねーよ、さ、行こ行こ」
......は?こんなやつ?
調子乗ってんなよこの野郎!
だいたいお前じゃなくたってどんな奴でも誘ってるってんだ!
どーせ自分の顔かっこいいとか思ってカッコつけてかわいい女口説いて私みたいな地味な奴にはこんなこと言ってるんだろ!
性格の悪さも程々にしとけよ!
なんでこいつなんか誘おうと思ったんだ......。
バカみたいだ。
さ、放っておいて次の奴誘おう。
あ、あの人はメガネかけて地味な男だな!
誘ってみよう。
「あ、あの一緒に花火......」
「あなたー!」
!?......あなた!?
あ、もうすぐで夫婦の仲を引き裂こうとするところだった......!
もうすぐで花火の時間が来てしまう、このまま1人で花火を見ることになるのか......。
だったら帰るか......。
「いえーい!」
「おいおいはしゃぎすぎだろ!」
「本当だよー!」
あ、あいつらだ!
まさかここでクラスのやつと会うとは運が悪い......。
1人でいる私の目の前でイチャイチャしやがって!
どれだけ非リアが傷ついているかわかってねーだろが!
お前らの食う飯に毒入れたい!
苦しんでいる姿を動画にしていっぱい笑ってやりたい!!
苦しんでいる姿を撮ってか......
「おい、かなこ何してんの? 」
「お、アニキ、私1人だから祭り一緒に回らね? 」
「あー、俺彼女と行く約束してたんだけど」
そうして兄はスマホを見た。
「あ、彼女今日行けなくなったらしいわ。仕方ねぇからお前と一緒に行ってやる」
それから焼きそばを食べたり金魚すくいをしたりとたくさん楽しんで、花火を見た。
パーン!パラパラパラパラ......
「花火綺麗だな......。私もこんなに綺麗になりたい」
「あー、お前には無理だな」
「今は怒りが込み上げられないな。花火が綺麗すぎて」
花火は終わり、兄と一緒に家に帰った。
兄が風呂に入ってる間にメールをみてみたら、兄の方が
《あきな、悪い、今日は一緒に祭り回れねえわ。妹が1人だから今年は妹と回らせてくれ。》と送っていた。
私は涙目になり部屋を出た。
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