第6話 性格を変えてみる

あー、あれから1週間以上たったが、なかなか立ち直れぬ......。

なぜだ。

ピリリリリリリピリリリリリリ

「あ、まみちゃんからだ! この前あんなこと言っちゃったからな......」

ピッ

「もしもしまみちゃん? どうしたの? 」

《もしもしかなちゃん?先生とは、どう? 上手くいってるの? 》

「いや、あの、そ、それがさー! 校長先生とかにバレたら大変だからこっちからフってやったんだよ!」

《そ、そうなの? でも良かった! 先生とのお付き合いでかなちゃんが何かに巻き込まれるの心配だったの......》

「そうなんだ、あ、ありがとう! じゃあね! 」

《うん、じゃあね! また連絡するね! 》

プーップーッ......

よし、これでもう誤解されることはない。

とにかく、彼氏作るということはまだ私にはレベルが高い。

だったらやっぱり可愛くなるしかないな。

ガチャ

「おーい、かなこ、サッカーのゲーム貸したま......えっ......キモッ」

「なんだと!? お前こそそんな性格してよくモテるな!!あー!?」

ゲシッ!

「お前の今の格好の方が気になってしょうがないけど!? 」

「はぁー、女子のモテる秘訣もわからんのか......そりゃモテねぇよ! 」

「いや、だから......」

「はいはい、お兄ちゃんの言うことは聞きませーん早く出ていって。あ、それとも妹の着替える姿を見たくなった? 」

「ふざけんな、誰がお前みたいなセンスのかけらもない奴の着替える姿を見たがるか! 」

ガランッ!

あ......確かに今の私の姿、しっかり見てみると似合ってないわ......。

これが陰キャなのか......。

はぁー、鏡見てられない。

これだったらいつまでも可愛くなれないしキリがなさそうだ......。

あ、こういう時は!中身から変わらないとな!

そうだなー、 性格だ。

«原田くんと5人の魔法»の浅夏りことみたいなクールな性格だったら......。

よしっ!これで行こう!



ー翌朝ー

「かなこ、今日はパンにする? ご飯にする? 」

「......パンにしようかしら」

「......かなこ、何かあったの? 」

「何もないですわ」

お母さんはびっくりした顔をしているな。

そりゃそうだ、私が1日でこんなに上品になったんだもんな!

ほら、真正面に座っている兄だってこんなに驚いてやがる。

グフフ......いけるなこれは!

「グッドモーニング、ですわ」

と兄に言ってみた。

兄はびっくりした顔をしてその後睨まれた......。



兄もまだまだわかっちゃいない。

どれだけクールな女性が美しいかを。

これなら私は問題なく高校生活をおくれる!

よし、過去は振り返らずに次に進もう!

大丈夫!

昨日あれだけ練習したんだ、これだけ上品だと男子も女子も集まってくるに違いない!



ー教室ー

あれ、誰もよってこないな......。

喋りかけてもいいんだぞ!

無理しなくてもいいんだぞ。

......いや、私が無理してるわ。

でも、まだ終わったわけじゃない。

これからだ。これから!

ポツ......ポツ......

あ、雨だ。

傘、持って来て正解だな。

「ちょー雨降るとかまじやばいんですけどー!うち傘もってきてないしー!」

「じゃあ、俺と相合傘するか?あはははは!」

「そんなんするかー!」

あーあ、あいつら家の食べ物なくなって餓死しんねーかな。

男にこびりやがるあのバカ女と、女を平気で落として誘うあの男、女なんて照れてやがる。

これだから女子は舐められんだよ。

そんなんするかー!とか言いながらポコポコ男の肩叩いてんのも鼻笑いするわ、わざと叩く力弱くしてさー、ゾウリムシかってくらい弱いわ。

ぺアが完璧すぎて見てて飽きないがいい加減ムカつくからやめろ。


ー放課後ー

雨と共に風も強くなってきたなー。

「ねーぇー、私傘忘れちゃったー!入れてくれなーい? 」

「しょうがねーな、入れてやるよ」

「わーい、ありがとう! 」

こいつらも何かのきっかけで私の目の前で苦しんでくんねーかな。

非リアに向かって見せつけてんのか?

いい加減にしろや、だいたいねーぇーとかわーいとか、男にこびっててとりあえず引くわ。

んで、男も男でしょうがないなーとか女が勘違いする言葉かけやがって。

俺モテるから優しい言葉かけてやってるだと?

私が見る限りお前なんて便所とのレベルさほど変わんねーよ。





あ、私上品な性格とか無理だわ。





















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