第5話 勘違い
ー朝ー
チュンチュン......。
「......ん、ふあ〜......朝か......」
そういや昨日、嫌なことがあって逃げ出して落ち込んだまま寝たんだっけな。
こうなったら立ち直って次の恋だ!
ガラン!
「おーい、アニキ! 」
「......なんだよ朝から、アニキって呼ぶなよ......」
「モテる秘訣教えろ」
「そんな言い方するやつには教えるわけがない、出ていけ」
私はベッドで寝ている兄のおしりにカンチョーした。
グサッ!
「クッソ!何すんだバカヤロー! 」
そして腕を捕まれ往復ビンタを10回ぐらいされた。
「痛い痛い痛い!いってーな!アニキ! 」
「だからー!アニキって呼ぶなっつってんだろーが!」
そういう言い合いを兄としていると、お母さんが来て、
「あんたたち!朝からうるさいわね! ご近所に迷惑でしょ! 静かにしなさい! 朝ごはんもできてるから早く降りてきなさいね! 」と叱られた......。
そして、兄と言い合いをしながらリビングへ行き、朝ごはんを食べた。
さぁ、どうするか......。
1回パソコンで恋のあるあるを調べてみよう!
【恋あるある
・同じクラスに好きな人や付き合っている人がいて毎日ドキドキ!
・違うクラスでも会えない時間は相手のことで頭がいっぱい!
・教師との恋愛だと授業の度にドキドキ!】
はっ......。
教師との......恋......。
そうだ!イケメンかつ女子にモテる男性教師に興味を持てば!
だが、好きじゃないのに好きなフリしても辛いだけなんじゃ......。
いや、やってみよう!
ー翌朝ー
「ねぇねぇ、坂本先生! おはよう! 」
「おう! おはよう! 」
「キャー! 先生かっこいいー! 」
何人もの女子に囲まれているあの先生はどうだろう......?
女子が居なくなったら話そう。
っていうか、今焦って話さなくてもいいよな。
女子が居ないすきを見つけて話しかけよう。
ー放課後ー
はぁー、やっぱり話しかけようとしても女子がずっと話してるから無理だった......。まぁ、今日しか会えないってわけじゃないし、何度でも試してみよう。
そう思って教室を出ようとしたら足がからまり転びそうになった。
すると、
......あれ、痛くないな......。
「大丈夫か? 」
「あっ......! 」
転びそうな私を受け止めてくれたのは坂本先生だった。
「どこか痛かったか? 」
「あ、い、いえ、大丈夫ですぅ......」
ドキドキして震えながらそう言うと、
「あはははは! そんなに緊張しなくてもいいよ! 黒山かなこちゃんですね? 」
なんと、坂本先生は私の名前を覚えていた。「な、なんで私の名前を知っているのですか?」
「毎朝見かけるからな!生徒の名前ぐらい覚えておかないとやばいだろー? 」
「あ、そ、そですね......」
そして、先生と昇降口まで行き、さようならと言って私は帰った。
ー夕飯ー
「グフフ......」
あのイケメンな坂本先生と話せるなんて、幸せだなぁ〜!
「おい、お前顔キモイぞ、何があった? 」
「別にー? 話してやってもいいけどぉ、話さなくてもいいけどぉ」
「聞きたくねぇな」
「......フッ、私の幸せがにくいんだろ? そりゃそうだろうな! 私は今までモテたことがないから急展開するとさすがにお前も焦るわな! あはははは! 」
「知らんが黙って飯食え」
「はぁー!なんて幸せなんだろう! この幸せ一生続け! ヤッホーイ! 」
私はこの嬉しい気分のまままみちゃんに電話をした。
「もしもし、まみちゃん? 」
《もしもし!かなちゃん?急にどうしたの? 》
「あのねまみちゃん、私今男性教師と恋愛中なんだぁー!」
《え!かなちゃん!?本当にどうしたの!?》
「どうしたって、坂本っていう先生と付き合ってんのよー! グフフ! 」
《......かなちゃん、大丈夫? 》
「えっ、何がー?」
《それ、勘違いじゃなくて、本当に付き合ってるの? 》
「まーあねー、秘密の関係的な感じー?まみちゃん!これは誰にも言っちゃダメだよ?じゃあねー!」
プーップーッ......
「か、かなちゃん......」
私ったらついに言っちゃった! 先生が彼氏って知ったらまみちゃんびっくりしたなー!」
ー翌朝ー
学校で先生の授業があるんだった!これは1時間ドキドキするやつだ!
英語の時間になり、坂本先生は来た。
彼氏が来た!
さぁ、始まるよー!
すると、1人の女子が
「先生って結婚してるんですかー?」と聞いた。
「なんだよ急に!まぁ、結婚してないけど、彼女はいるかな? 」
!......私のことだな!先生ったらこの場で言ったら......!
すると他の女子も
「彼女って何歳なんですかー?」と聞いた。
歳まで聞いたらもうさすがに私だってわかるじゃないか!
「えー、歳言っちゃっていいのかな? じゃ、言っちゃおうかなー? 」と言い、私の顔をチラッと見た。
これは完全に私だな!
「俺の彼女の歳は23歳!」
......はっ?
今、なんて?
う、嘘だ!
彼女は私のはずだ!
「えー、私を彼女にすればいいのに~!」と、女子は言う。
これは私の勘違いだった。
だったらあの時チラっと見たのはたまたまだったんだな......。
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