第4話 運命の人

ー翌朝ー

「あらかなこ、ちょっと肌が綺麗ね。いいことでもあったのかしら? それとも化粧水買ったのかしら? 」

とお母さんは言う。

「あー、ちょっとね......最近化粧水を塗り始めたから! 」

「あらそうだったのね」

こうして朝は始まったが、昨日ぶつかった人を惚れさせるための大作戦だ!

よし、昨日の出来事は夢じゃない!

それに、偶然じゃなく運命かも......。

そしたらきっと相手も惚れてるはずだ!

ならもっと可愛くならないと付き合えない。

ニヤッ......

「私は変わる!! 」

「お前が何に変わるか知らねえが、俺のガム食うなよ。全部取っただろ」

「食った。それがどうした」

「言うことがあるだろうが」

「なんだよ」

「謝れよ」

「悪ぃな」

パシッパシッゲシッ

そしてクソ兄は私の顔を2発ビンタし、スネを1発蹴った。

「くぅーーー!いってぇな!お前!調子乗んなよ! クソ! 」

「お前がな!! 」

パシッ



クッソー、女子の顔に傷をつけおって!

ふざけんじゃねぇ!

妹だからって殴って言い訳がねえだろうが!



ー学校ー

グフッ......。

あの男子年上なのかなー、年下なのかなー!!

あ、同級生かなー!?

とうとう私にも青春が来たんだな。

モテ期かもしれない!......ククク......。

「あー、黒山さん、そこの消しゴム拾ってくんね? 」

ヒョイッ

「ど、どどどどうぞ」

「サンキュー! 」

はぁー、まじしょーもねーわー。

こいつないわー。

話したことも無い人に「拾ってくんね? 」とか、イライラ通り越して笑うわ。

どうせ、チャラチャラしてる男子がかっこいいとか、どんなやつにでも優しいとか、そういう印象を持ってもらいたいんだろうけどお前は調子に乗ったかっこつけ野郎だ。

こいつは一生女子にモテねーわ。

どんなにブスでデブな女子にもモテねーわ。

強いて言うなら動物にモテるんだろうな。

例えばー..................ゴリラ。



フッ......。


ー放課後ー

......今日は考えなくてもいいことを考えてしまった。

頭が狂いそうだ。

家でツンデレ男子のゲームでもして時間を潰そう......。

お、クソ兄だ!

「おーーーい!クソ兄ーーー! 」

「......かなこーーーーーーー!! 」

そして、兄は鬼の形相で私の方へ走ってきて、私の背中を蹴った。

ゲシッ!

「ウォッ!!! 」

「おんめぇいい加減にしろよ! 」

「うぅぅぅ......」

「帰るぞコラ!」

「嫌だー !クソ兄ー !私の背中の骨絶対1本折れたぞー! それなのにまだ私に何がする気だろー! 」



ー家ー

家に帰って、私はクソ兄にギャーギャー言われていた。

「お前はいっつもこんなんだから! 」

「ねぇ」

「なんだよ! 」

「早く終わんねーかな、私宿題があるしアホだから早くしないと間に合わないんだけど」

パシッ!!


くっそー、まだじんじんしている。

ったくあいつのせいで私の皮膚が限界になってきた。

あいつなんてどーせこんな性格してるから、女子にもモテねぇし、男子からも避けられて辛い人生を送ってるんだろうなー!

そうだといいなー!

......あ、勉強勉強......。




〔君、かなこちゃんだっけ? 可愛いね、その服も似合ってる! 良かったら僕とデートしませんか............〕




「......ハッ!い、今前にぶつかったあの人が!......はぁー、なんだ、夢か......」

そりゃそうだよな、夢じゃないとこんな展開はおかしい。

ただ、夢の中でもあの人と話せたのは嬉しい。

もしかしたらこの夢が見れたのは......偶然じゃない。

運命だ!

よし、今度の土曜日の同じ時間、同じ場所で待ってみるか!

例え来なくても試してみる価値はある!



ー土曜日の夕方ー

よし、準備は出来た。

このファッションだと一目惚れするに違いない。

あ、あの人だ!やっぱりこの日のこの時間はいるんだ!

ん?

誰かと待ち合わせしているのか?




......そして、私が一目惚れした男性は彼女らしき人と待ち合わせをして、出かけて行った......。














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