第3話 友達の彼氏

ピリリリリリリ...... ピリリリリリリ......

「もしもし、あ、まみちゃん?」

《もしもし、かなちゃん! 久しぶりだね!

今週の休み、何か予定ある? 》

「予定ないよ、どうしたの? 」

《○△カフェで待ち合わせできる? 」

「あ、うんできるよ」

《良かった!いきなり電話してごめんね、じゃあまた今度ね!》

今電話してきた子は、松本まみちゃん。

小学校の時に初めて出会った頃から仲が良い。

私が一人の時はいつもそばに来てくれる優しい子だ。

だが、私と同じく地味すぎる......。

そんなまみちゃんと久しぶりに会うのか、変わってないといいな......。


あ、私優しくねぇやつだ......。



ー土曜日ー

まみちゃんまだかな......

少しおしゃれしてみたが、周りの目が私には似合わないと言っているように見える......。

お前らとは違う私を珍しく思っているんだな。

まあ、お前らみたいに男にこびって、女子の愚痴を暇なのかよってぐらい話し続けることとかできやしねえよ、出来たら特にギャルだっつーの。

「かなちゃーん! 」

「まみちゃー............あ......」

私が知っているまみちゃんは、黒いメガネに黒い髪、全身真っ黒の地味な女子だ。

今まみちゃんを見た時、ガッカリした......。

今のまみちゃんは、金髪に色んな色の服を着て、メガネを卒業し、カバンまでおしゃれだ。

私の知っているまみちゃんとは違う人に見える......。

「かなちゃん! 久しぶり! 」

「まみちゃん......その格好は......? 」

「あー、これ? 高校で初めてできた友達が高校デビューしたらって言うから自分を変えてみたの! かなちゃんは変わってないよね!

前と同じ感じでまた中学生の時に戻ったみたい! さぁ、行こっか!」

「あ、うん」

まみちゃん......何か全然違うな......まみちゃんは自分を変えようとして成功したけど、私は自分を変えることが出来なかった。

どんな違いだ?わからん!

ガラン

な、なななななんじゃこりゃ!?

まみちゃんはこんなオシャレな店に入るのか!?

私がいると一瞬で空気が悪くなる店じゃねーか!!

「いらっしゃいませ」

「さ、かなちゃん何にする? 私が先選ぼうか? 」

「あ、先選ぶよ、ホットコーヒーで」

「じゃあ私はカフェオレでお願いします! 」

あー、ホットコーヒーたまに飲むと美味しいな。

さあ、何話そう......。

外見が変わると中身も変わってそうだな。

もうアニメとか見てないのかな......。

「かなちゃんは、まだアニメとか漫画とか見てる? 」

「あ、み、見てるよ! 」

「だよね!良かった!私も見てるんだけど、最近«ガイコツの奇跡»ってアニメにはやってるの!あれ感動するし面白いしサイコーだよ」

そうだよな、まみちゃんはまみちゃんだ!

外見が変わっても中身は変わってない!

「あれ見てるの?面白いよね!あのガイコツの正体わかる?私わかっちゃったんだー!」

こうやって友達と楽しく話すの久しぶりだな......。

もっとまみちゃんと一緒にいたいな。



ー夕方ー

「かなちゃん、今日は楽しかったよ!また遊ぼうね!またメールするから!じゃあ、またね!」

「うん、ありがとう!また絶対遊ぼうね」

そしてまみちゃんは帰っていった。

私も帰ろうと道の角をまがったら、まみちゃんと男子が一緒に話しながら帰っていた......。

「ま、まみちゃん......?」

うう嘘だろ!?まさか......

「あ、かなちゃん!あの、その人誰? 」

まさか......まさかね......私より先にこすのはありえない!

私の方がいっぱい努力してきたんだ!

「あ、この人は山野はるっていうの! 私が初めてできた彼氏だよ! いつかかなちゃんに紹介したかったの。 友達だから! 」

えっ......。

「い、いや......あの......そっか、よよよ、よろしくお願いしましゅぅー......じゃあ私は行くね」

待てよ待てよ、おい待てよ。

まみちゃん、聞いてない。

私より先にこされると置いていかれてるみたいじゃねぇか!

私は認めたくねえ!

いや、認めねぇ!

私が絶対、絶対まみちゃんが顔負けするような彼氏をつくり............

ドンッ!

「いたたたたたた」

くそ、誰だよぶつかってきたやつは!

「すみません、大丈夫ですか? 」

そうして手を差し伸べたその人は......

めちゃイケメン!

びっくりするほどイケメン!

「あ、あの、ありがとうございます......私こそぶつかってしまってすみましぇん......」

「怪我はなさそうだね、本当にごめんね。

それじゃ!」

その人は優しい笑顔でそう言って去っていった。

私......惚れたわ。

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