第17話 夏だ!!海だ!!幽霊だ!! その2
そうして、お昼ご飯を食べた俺達は引き続き海に向かった。
浜で遊ぶもの、引き続き海で泳ぐもの、パラソルの下で休むもの。
それぞれ別れたが、俺は間違いなく3番目だった。
なんといってもご飯を食べた後は眠い。そんな時に海に入るのは危険だ。
そう考えての選択だった。決してめんどくさいとかは考えていない。
「「めんどくさいんでしょ?」」
「いらないよそのツッコミ」
「遊ばないのっ?」
「ああ、沢尻先輩」
相変わらず綺麗な人だ。
「ちょっと眠くなっちゃいましてね。日焼けしようと思っているわけではないのですが少し仮眠をとろうと思いまして」
「そうなんだぁ。私も隣いいかな?」
「ええ、俺は構いませんが」
「じゃあ、遠慮なく。失礼しまーす」
夢の様だ。この光景は一斗に見せたら羨ましがられるだろうな。少しどやしてくる一斗が容易に思い浮かべられるよ。
パラソルの下に居ながらも、しっかり太陽の温かさを感じられてしっかり眠い。
「気持ちいい~」
「そうですね~」
このまま、お布団へ直行したい気分だ。沢尻先輩も珍しくだらしない感じでのびている。
「今日はホテルで寝泊まりして明日出るんでしたね?」
「そうよ~。夜は、心霊スポットを使って肝試しらしいわよ?」
またか。この前お化け屋敷行ったばっかりなんだけどな。
正直、肝試しはあんまり気が乗らない。
そう思いながら、俺は目を閉じいつの間にか眠りに入ってしまっていた。
その後、どうやら俺が目を閉じている間は沢尻先輩も少し寝てしまっていたらしく、先に妹に起こされ海へと向かったようだ。
香原とセラと陽は俺が寝ているのをいいことに、俺を砂浜に体が出るまでの3メートルばかり引きずり定番の砂で体を模り、しっかり出るところは出して遊んでいたようだ。
見事に起きた時は砂に埋まって体を出すことが出来なかったほどに頑丈に固められていた。寝ぼけていてもあいつらの笑い声が消えてきていたような気がするよ。
だが、それだけでも、一緒になって楽しめていたような気がする。
そうして水平線に太陽がつくまで遊んだ俺達は海を引き上げホテルに向かった。
オイルイベントもポロリイベントも寝てる時間が多かったから堪能していないが、なかなかいい海だったんじゃないだろうか?
次の機会があればぜひ堪能したイベントだな。
「はあ、体ベットべトでじゃりっじゃり」
これだけは本当に嫌なんだよな。
だが、ち〇こが痛い気がするこの感じを早く何とかしたい気持ちが先走った俺に、最後の最後でイベントが来た。
しっかり使用中の標識を見なかった俺が悪いんだが、いまはまだ使われていた、そのシャワー室にうっかり、本当にうっかり入ってしまったそこには当然誰かが入っていた。
「やべぇ、ボーっとしてやっちまった」
最初は、湯煙で全然見えなかったが扉を開けたことにより外の空気と中の空気が入れ替わって次第に煙も晴れ、そこにいた体が少し見えてきた。
「だ、だれっ!?」
この声は、まさか…。
「すいませんっ!! 使っていたとは気づかず!! すぐ出ますっ!!」
「待って!!」
「えっ?」
俺はこの声が沢尻先輩だと分かった瞬間に一気に気が動転してすぐに出ようとしたが、待ての一声でまんまと足を止めてしまった。
俺は待てって言って止まる犬かっ。とにかくここからでなければ。
「大丈夫だから、まって?」
「沢尻先輩、あなたが大丈夫でも俺が大丈夫ではありませんっ!!」
「えっ、そうなのっ? でもちょっと待ってっ、ね?」
し、死んでしまう。でも、「ね?」なんてお願いのされ方はずるい。
だがそこに追い討ちをかけるように、沢尻先輩は水着を着ていて衣服の上からではあるものの感触はほぼあってないような物。
その体を俺の背中に密着させてきた。
「せ、せんぱい!?」
「藤崎君っ!!」
「は、はいっ!?」
そして彼女は言った。
「私とお付き合いしてくださいっ」
「へっ?」
少し控えめに、恥ずかしがっているのか妙にボソボソ言っている告白が逆に俺にはこそばゆかった。
「返事はすぐじゃなくていいから後で教えてねっ」
そう言い放った彼女は、2人のシャワールームから俺を取り残し行ってしまっいこの空間はシャワーの音だけが鳴りやまず続いていた
「…シャワー浴びよ」
セラの時とは違う。しっかりこちら側の人からの告白だ。受け取る側もあの時とはドキドキのベクトルが違う。
シャワー室のせいで、のぼせそうな心拍の上がり方なのか、告白によるドキドキの仕方なのかわからなくなってきた。
「返事は後でって、いつだよ」
シャワーも終え、しっかり砂を落とした後は、着替えも済ませ駐車場に集合しホテルに向かった。
当然、沢尻先輩と顔を見合わす場面は多々あったが極力、でも自然な感じで、顔を見ないように努力していた。
きっと”無駄読み”をしている奴らはすでに気づいていそうで怖かったが、
「「ん? なにを?」」
気づいていなさそうでよかった。本当に無駄読みだな。
ホテルは海から車で5分ほどで着く所に立地していた。この場所は観光客集めやすいだろうな。
「結構立派なホテルですね」
「「おぉー!!」」
最近君たちの姉妹感が増してきてお兄ちゃん嬉しいよ。
ほかの面々もフロントロビーからすでにお洒落で、豪華な電気の配列に驚いている様子だった。
そしてスタッフは見事なまでの営業スマイル。
サービス業に従事している、人達に申し訳ないとは思うのだが、ああいう笑顔がが俺は嫌いだ。
心の底から「来てくれてありがとうございますっ!!」なんて思って挨拶している人なんて、そういるものではない。
もしいたとしたら、それがサービス業を天職として生きていく人たちだろう。
今時、サービス業は誰にでもできる仕事と思われがちだが、そういう気持ちこそ資格であると思う。よって、俺にはできない。
サービスマン、お疲れ。
「チェックイン、終わったわっ」
「すいません~、ありがとうございますっ」
ママーズのやり取りだが、なんか喋り方ヌメヌメしていて気持ち悪い。それにキャラも変わってる気がするしな。
「アニキっ、俺達は同じ部屋だぞ?」
「お前さ、いつからそんな感じのアニキに変わったんだよ?」
「なに言ってるんだアニキ?」
「何でもないですよ」
前までは、兄貴って感じだった気がするんだけど? 感じ違うな。藤崎家がここにきてどんどん変わっていく。
いままで、あまり近所との関わりが少なかったのもあるとは思うが。
俺の部屋は、660室。俺、陽の2人組。
一方で右隣の659室が、ママーズ。左隣の661号室に他女性陣4名だったのだが。
「沢尻先輩のお母さん?」
「ん? どうしたのかしら?」
「今回、予約といい部屋といい、どうやって人数ごとにとれたんです?」
「えっ? 普通にとれたわよ?」
「フロントの人に人数訂正とかされませんでした?」
そう、今スムーズに行きすぎているが、当然スタッフに見えてるはずがないのだ。正体に気づている俺なら、後から2人来るんですとか言ってうまくごまかせるが、ストレートに言った場合。
「2名様はこの後いらっしゃいますか?」「なに言ってるのあなた? いるじゃない!!」
ってなっちゃいそうなもんだが。
「そういえば、最初は6人って言われたわね? でも8人で予約したんですけどぉって言ってチェックインは済ませたわ?」
「そ、そうでしたか」
どっちもアホでよかったぁ~。
無事チェックイン済ますことができ、各自館内の説明を受けたのち部屋に向かった。
ほんとめんどくさいことにならなくてよかった。油断していたけど今度からちゃんと俺も混ざろ。
部屋に向かう最中、セラが言っていた。
「ここっ、天然の温泉があるそうですよっ?」
みんなその話を聞いて、この後すぐに行くというので、予定として次は温泉だった。
ちょうど髪の毛とかシャンプーしたいって思ってたし、筋肉痛になりそうな体を癒したかったところだ。
温泉はしっかり男湯と女湯にわかれていた。別にそんなイベント気にしてないよ?
早速男湯に男2人で乗り込むと、そのよく出来た自然界を彷彿させる造り方はここに居るだけで、心が安らぐようだった。
「「おおーすげぇー」」
いやホントにすごかった。
「これは中々の出来だな、弟よ」
「ああ、これは間違いないな」
「では早速っ」
そして快楽を求め、俺達はその領域に足を踏み込んだ。
「「ああぁ、いい湯だぁ」」
ついつい今さっきからハモってしまうな。
柵を超えた隣からは、女性のメンツがキャッキャウフフしているのが聞こえる。
「うわぁ、百合ちゃん、おっぱい大きいね」
「ぶふぉっ!?」
今の声は香原か? 余計なこと言いやがってついつい想像してしまう。
「どしたアニキ?」
「いや、なんでもない。気にするな」
「妹ちゃんも中学生とは思えない体系していますねっ?」
「ぶふぁっ!!」
今のはセラか? あいつも余計なことを。
「大丈夫か弟よ?」
「問題ないさっ」
いや、鼻血でてるけど?
「アニキ、ちょっと俺は先に上がるぞ」
「あ、ああ。気をつけろよ?」
「うん」
そして弟が出ていき、この広い風呂に俺1人になった。
相変わらず隣からは、セラの体がエロいだの、香原の胸はちょうどいいだの、そんな話ばかりだ。
全員、普段の服の上からでも言わずして体型の良さはわかるぞ。
「ねぇ? あかちゃん後で話いいかしら?」
「?? はい」
俺は、なぜだと思った瞬間に鳥肌が立った。すっかり忘れていた。
この2人、面識あるじゃん…。やばっ。
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