第3話 俺と優樹菜の日常①

 優樹菜との同居生活が始まってから一週間が経過した。

 今日も何事もなく、学校が終わり、家に帰ってきた俺たちはそれぞれ自室にこもり、宿題を始めている。

 ここ最近……というか、あの相談以降は特に会話らしい会話はせず、かと言って仲が悪いというわけでもない。一見、平行線のままなのかとも思ったが、登下校時は一緒になることが多くなったし……一応進歩してると言えるのかな?

 まぁ、俺たち二人の一週間はそんなもんだった。


「んん〜!」


 宿題が終わったところで俺は机上にシャーペンを放り投げると、座ったまま背伸びをする。

 そして、壁に掛けられたアナログ時計を見ると、もうすぐで午後五時半。そろそろ風呂に入って、夕飯の準備をしなければならないな。

 俺は椅子から立ち上がると、タンスの方に向かい、バスタオルや下着類、ジャージを取り出す。

 一日中着込んでいた制服のシャツからは少し汗臭さが滲み出ており、気持ち悪い。

 俺は自室から出ると、そのまま一階にある脱衣所へと向かう。

 そういえば、優樹菜の姿が見えない。

 いつもであれば、俺より先に終え、リビングのソファーでちょっとしたお菓子を貪っている頃なんだけど……。

 まだ宿題が終わってなくて、部屋に籠ってるのか?

 俺はそう思い、引き戸の取手に手をかけ、本当に何気なく開ける。


「「…………」」


 俺たちは目が合った瞬間に固まってしまった。

 そこには生まれた姿の優樹菜がおり、片手にはパンツらしき布を握っている。たぶん、髪も濡れてないし、今から入るところなんだなぁ……。

 って、何分析してんだよ! 今はそれどころじゃないだろ!


「す、すすすまん! 失礼しましたッ!」


 優樹菜に何か言われる前に俺は我に帰り、バンッと引き戸を思いっきり閉めた。

 なんで戸に鍵をかけてなかったんだとか疑問に思うところはあるが、な、なんというか……すごいものを見てしまった。

 さっきの出来事のせいか、顔がだんだん熱くなっていくのを感じる。

 ーー優樹菜の裸体……。

 あの光景がフラッシュバックのようにチラつき、他のことが考えられない。

 何を考えてんだよ。最低かよ……。

 好きな人の普段見れないようなところを見れたことは正直嬉しい。が、俺は優樹菜の兄だ。義理だとしてもこういう事故はよろしくない。

 今後から気をつけよう……。

 とは、思いつつもこんな事故って、どうしたら防げるのかしらん? これに関しては鍵をかければ、いいだけの話なんだが、思わぬ事後? というのだろうか……そういうのってたまにあるじゃん?

 こんな事故が今後も多発してしまったら俺はもう……。

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