ドリームキャッチャー7

意外なマカネの善戦に観衆の目も好奇心を帯びていった。ダイセンも1発で決めるはずだった勝負が長引き、攻撃に精彩を欠きはじめていた。DREAMCATHERとここまで長時間戦った機体は存在しなかった。


ゆえに、ゆえに、慣れぬ長期戦を強いられたゆえに格下たるCENDRILLONに苦戦することとなった。普段の敵ならば三次元戦闘に適応出来ず、早々に倒されていた。しかし今回は違ったのだ。


手こずっているだけだ。ダイセンはそう考える。マカネを戦いの運命から守られねばならない。たとえ適性がいくらあろうとも本人がどれだけ望もうともだ。もし彼女が私から自分の体を取り戻したならば、歴史の葬列は彼女を巻き込むであろう。


あの時、“歴史の葬列へようこそ”などと煽ったのは逆に来てほしくないからだ。彼女は反発あるいは危機感を感じてくれるはずだ。そうすれば考え直してくれるはず。


スカージさえ倒せば、この体は返すつもりだ。やつさえ倒せば能異頭どももおとなしくなり、この時代は守られ、彼女の宿命も終わるはずなのだ。アイリーンはそう言っていた。


「歴史の葬列とはなんだ?」不意にマカネの言葉が発せられた。多くの運命を左右する力の代償、そう考えていた。急にその質問が湧いて出るように印象的だったのかもしれない。


答えようと思った刹那、ふと気づく。なぜわざわざそんなことを聞く。戦闘中にそんなことを考える余裕があるのか?そう……これは!CENDRILLONの拳が眼前に迫る!


気を逸らしたか!「葬列に加われ!ダイセン!」だがこの程度の小細工で攻略できるDREAMCATHERではない!後退機動!長期戦にも慣れてきた頃合いだ!決着をつけてやる!


「今だ!」マカネが叫んだ!地面が割れた!


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