ドリームキャッチャー2
体が重い。
その軽やかさのままにヴァルハラ地区を飛び出し
旧リズ大陸風のヴァルハラ地区の街並みは御蓮系のトリフネ地区での暮らしに慣れた俺にとって、いや私にとって違和感のあるものだった。もはや気にならなくなるほどここに留まっているが。
あの空の向こうには故郷がある。というわけでは無い。地上か。地下に眠る力を求めてガフの始祖達がこの世界を掘り始めて数世紀。それを求めぬ者たちも凍っていく世界に地上を追いやられた。だが
それでもなお、ヴァルハラ地区はここにある。まだ力を残し、世界を凍結させている。私もまた、この停滞の王国に留め置かれている。魔法は解かなくてはならない。
「魔法は解いてはいけない」ふと真反対の
「声に出していたか」俺は一度俺の体を取り戻した。目の前にある私の体を。だからだろうか感傷的になったのは。「君がこの体に戻りたいのはわかっている」「ならば、返すのだ。おもちゃを盗むのとはわけが違うぞ」
「それができない相談であることは君がいちばん理解しているはずだ」私の体を奪った男、ダイセンの、私の声で伝える言葉には優しさがあった。私が元の体に戻れたのは一瞬だった。私の体は私の体ではなくなっていた。
私の体には
「ダイセン!……さん。俺は取り戻す!俺の体もあなたが守ろうとしている俺の運命とやらも」アイリーンが何を考えているかは知らない。ここでなぜアイリーンのことを?、そうか……。
俺がなぜダイセンに不快感を感じなかったかわかった。やつの言葉が本当であることが俺の、ダイセンの体が教えてくれるからだ。アイリーンは俺の体でなにかをしようとしている。それをダイセンは快く思っていない。
だから体を奪ったのだ。私の体と心を離せばイグナイターは眠ったままだ。それでも、俺は言葉を繋げた。俺は、私の運命を取り戻す!
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