ドリームキャッチャー3
かつて、この世界には救世主がいた。……というよりも世界は救世主を必要とし、彼らにその役割を押し付けた。その運命に巻き込まれて歴史の葬列に名を連ねる者たちも、この世界の現状には苦笑せざるを得まい。
何度も救われて来たこの世界は大きく歪みを生み、その度に救世主を必要として来た。イグナイターも新光皇もタイラントもセイントメシアもこの世界の犠牲にされてきた。
━━━喧騒、いままでの試合とは大きな違いだ。これがタイトル戦である。ヴァルハラのミュートコロシアムにおける最強となる9つの称号を持つアームヘッド。それを賭けた戦いだ。
タイトルを持つアームヘッドに挑み、勝利すれば富と名誉がなによりもそのその称号が手に入るのだ。最強の機体に挑む者もまた最強。挑戦権を賭けた有象無象の小競り合いとはわけが違うのだ。
挑戦者マカネは、その熱気、雰囲気、観客の高揚感に煽られた。それでも、必死に自分を取り戻そうとした。そう、富も名誉も要らない。いや、まだ必要がない。そんなモノは自分を持っている者たちが奪い合えば良い。
彼女に必要なのは自分だ。対峙するタイトルホルダー機、DREAMCATHERを睨んだ。それを駆るのは1年前にこのヴァルハラ地区の闘技場に現れて、その強さと可憐さでこの世界を熱狂の渦に巻き込んだマヤ・ダイセンだ。
彼女からすべてを奪った男だ。マヤ・ダイセンはマカネの体に乗り移ってここに来た。マカネは彼が乗り捨てた体に乗り、かろうじて彼を追った。自分の体を取り戻す為に。
そしてついに直接対決の時が来た。タイトル戦、救世主戦である。
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