バレンタインクラブ5

異様!蟹めいたアームヘッド。ミュート・シザーバスターのコクピットの全方位モニタが外の異様な光景を映す。チョコならず者たちがチョコレート頭田袋を運搬していく。その先にはチョコレートの巨大な猿が存在していた!能異頭ノイズである!その名も超克真実バレンタインクラブ


ノイズはこの世の物理法則を歪めるあり方ロールをする。権能・超克真実パワー・バレンタインクラブはこのノイズのあり方であり名でもある。バレンタイン・クラブはチョコレートを持つ者が強いという原始のルールに則り巨大なジャイアント・チョコレート・モンキー・ノイズと成ったのだ!


「俺は猿!俺はチョコレート!俺は強さ!そうだろう?蟹女ァーッ!」チョコ猿ノイズがこちらを向き叫んだ!「ですわッ!」おまえだったのか!チョコレートを荒らしバレンタインを壊したのは!蕾は憤った!蕾は常に怒っている。自分自身の恐怖に対して。あれは理解外の怪物、それに挑むのは恐怖だ。


怒りが恐怖を上書きしてくれる。怒りが怪物と敵と闘う力をくれる。真鐘ならどうするのだろう。真鐘が闘う時、笑っているのを見たことがある。純粋な喜び、彼女はじぶんとは違う。もし真鐘が体を奪われなくてもヴァルハラ地区に来て戦いを始めたのではないか?蕾は常に考えている。逡巡は終わりだ。


戦わなくてはならない。真鐘を戦わせてならないのだ。真鐘が変わってしまうのが怖かった。彼女の才能は目覚めてはいけなかった。チョコの猿ノイズがその巨大な腕を振りかざす!シザーバスターはブースト回避!対ノイズ用に両手のハサミを解禁した!怪物相手にドレスコードは不要だ!「ですわ!」


キャンサーカリバー!ヴァルハラ闘技場のドレスコード、射撃武器禁止で外された武器が火を吹いた!高圧縮されたエネルギーが蟹のハサミめいた剣から発射されチョコレートの猿に直撃した!「ですわ!」やったか?チョコレートの粉塵が晴れチョコ猿ノイズの惨状を映し出すはずだった。「ですわ⁉︎」


蕾は直視してしまった。ノイズ特有の仮面を猿を模した異様な配色の顔面に付け、その奥の眼光がギラギラと遠未来の理解不能な感情を伝えている。つまり損傷軽微!「俺は強さだと言ったはず」仮面の奥の感情が侮蔑的なものへと変わり一時的な代替化を押し戻す。蕾には知り得ぬことだが怪物は人でもある。

チョコレートを持っている者が強い、そのようにルールを曲げるロール、バレンタイン・クラブと名付けられたノイズはカカ男がそうありたいと願って生まれた。あるいは。「ですわ!」蕾はもう一度じぶんを奮い立たせた。理解不能だった。だが向こうがこちらを舐めているのはわかった。チョコのくせに。


「ですわ」チョコレートを舐めるのはこちらだッ!キャンサーカリバーをノイズのチョコ表皮を舐めとるように振りかざす!「霊長類に勝つつもりか!蟹が!」チョコ猿ノイズはキャンサーカリバーを掴む!シザーバスターは掴まれたキャンサーカリバーをパージしもう一方のハサミで猿を殴る!ならず者逃走!


巨大なサルカニガッセンに巻き込まれている小さなチョコならず者たちはたまらず逃げ出す。その熱気でチョコレートは溶け出しシザーバスターにもチョコレートがまとわりつく。チョコがけのサルカニガッセンであった。「あなた」蕾が口を開いた。蟹の中から響く声に猿の中から響く声が答えた。「なんだ」


「あなたはほんとうにそうなりたかったの?」蕾はサルカニガッセンを思い出していた。チョコレートの木が欲しいという蟹の願い、それは歪んで叶えられ友情は壊れてしまった。「あたりまえだ。俺はチョコレート強さだ」ノイズの言葉は平坦だった。「ですわ」もはや語ることもない。サルカニガッセンだ。

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