ワイルドカード2

今日はマカネの闘技場での試合はない。だが彼女はユリとアイリーンを伴い闘技場へと向かっていた。こうしたプライベートの時まで顔を仮面で覆い隠すわけにもいかないのでマヤ・ダイセンとして顔を出した状態である。


マヤ・ダイセンの身体は現在の体の持ち主であるマカネ・アキタによって実年齢を感じさせぬほどわかわかしくなってはいたがマカネは元々は10代後半だったので彼女は現在の自分の体の年齢を感じずにはいられなかった。


体を入れ替えたもう一方のダイセンはまるで羽が生えたような心地だろうか?マカネは思った。自分の体が心配である、ひどい食生活で劣化していないだろうか?テレビで見る限りではまだ安心に見えるが?


「おほほほほほ!深刻そうな顔をしてどうしたの?マカネ!」突如カニみてえな髪型をした女の人がマカネに声をかけた。「ツボミさん!相変わらずカニみたいな髪型ですね!」「おほほほほ!マカネさんはセンスが相変わらず独特ですわね」


「今日の試合!応援してます!」ツボミ・ヨコテはユリやアイリーンの他にマカネの正体を知る一人である。彼女もまたトリフネの大企業の令嬢の一人であるが正義感が強くマカネの体を取り戻すべくついてきたのだ。「わたくしは無敵ですわ!」


「ふふ、うちのお嬢様はたのもしいね」「セシル!わたくしはひとりで行けますわ!」ツボミは遅れてやってきた自分の執事に言った。「あまりがんばり過ぎないように。ところでマカネさん。母さんやユリさんは一緒じゃないのかい?」


「セシル、私はここにいるぞ」いつのまにか現れた私のメイド長様アイリーンとユリだ。「マカネ、また考え込んで置いてかれたでしょ」一緒に歩いていたのにいつの間にかいなくなっていたのはそういうことか。「うちのご主人様がお世話になりました。ツボミ様、あとセシル」


「母さん、能異頭が出たって本当かい?」「セシル、あなたはとりあえず奴らについては考えなくていいわ。ツボミを見守っていなさい」「でも…」「ノイズってなんですの!?」二人のひそひそ話にツボミが割り込む。


「テレビが壊れたんすよ。ツボミ様」「ああ!そういえば、ここでの別邸が壊されたって聞きましたわ!安心なさって! ファイトマネーで直して差し上げますわ!」「あらありがたいです」「おほほほほ!燃えてきましたわ!」

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