ワイルドカード1


WALHALLAヴァルハラ”と書かれた文字が青いホログラムの天球ヘブンの上に表示される。位置はリズ大陸北部、隕石湾のすぐ近くだ。”LIDリド”という地名がその南にあり”NIRAIKANAIニライカナイ”、”PARAISOパライソ”、”TORIFUNEトリフネ”とつづく。


「我々はもうすぐ、この世界へ復讐をする」ホログラムを囲む円卓に集った男の一人が号令をかけるかのように言葉を発した。「我が一族はガフによって滅んだも同然だ。ヘヴンズレイというまやかしの光に集まった羽虫どもが我らの繁栄を妬み暴挙をおこなった!」


「そうだ!」「総帥!ばんざい!」周りの者たちも付和雷同する。「私は再び、ヘヴンズレイ戦争を起こす!そのためにこのヴァルハラに戦士たちを集めた!やつらは我らの潤沢なヘヴンズレイに垂涎し集まってきた!もはや我々の復讐は完遂できたも同然!」


「ビーチ総帥?ちょっといいかゾ?」つまらなそうに頬杖をつきながら男の話を聞いていた銀髪赤目の女が口を挟んだ。「ナイトメア特別評議委員!なんだね!?君の貢献は素晴らしい!新しい神子の提供に新金属の開発!ボーナスの話かね?」


「ナスは今はいらないゾ。神子ちゃんだけど、またどっかほっつき歩いているみたいだゾ?ワタシ、さいきん現れた能異頭ノイズとかいうバケモノに神子ちゃんが襲われないかと思うと大好きなお昼寝も十分にできるゾ!」「安心したまえ!彼女は十分に自衛できる!なぜなら!?」「総帥さん!」


「ん?」「なんも知らない数合わせのお兄さんたちもいるんだし、僕のように余分なことは言わない方がいいと思うゾ!」ナイトメアの赤い双眸が怪しく光った。「ふふん!そうだね!君もしてもない心配なんて言わないでくれよ!能異頭の実戦化も待っているよ!」「ふん!」ナイトメアは再び総帥から目を背けた。


「さあ切り札ワイルドカードは我らの手の内だ!この私、ビーチ総帥と君たちヴァルハラ評議委員会のヘブン統一を始めようじゃないか!」演説を続けていた男、ビーチ総帥が立ち上がり他の者もそれに続いた。ナイトメアはあくびをした。

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