マジックアワー終

工事の音が響く中、私はメイド長とテレビを見ていた。テレビでは地区の有志がテロリストを排除したことになっているが、私は地区防衛のため一機の防衛機体アームヘッドすら出動してこなかったのを覚えている。ワルキューレがやってきたのは全てが終わった後だ。


「なかなか頑張りましたね。ご主人様、褒めてあげますよ」ソッファーで踏ん反り返っているアイリーンメイド長は私に顔を向けずに行った。「そうですよ、あなたがヴァルハラ地区を救ったのだわ」私の娘……じゃなくて私の体マヤ・ダイセンの娘ユリ・ダイセンが励ます。


私の体を奪った父親とは違い、とてもいい子だ。「救ったことになるんですかねえ」アイリーンが嫌みったらしく続ける。「能異頭ノイズはまた現れますよ。必ずね」「いったい、あれはなんなの?アイリーン」「あれは終末の落とし子、世界を滅ぼすものよ」


「知ってるような物言いね」「当然です、何年奴らと戦ってきたか」「それに私達を巻き込んだわけ?」私がそういうとアイリーンはついにこちらを見た。「そうだ、責めるなら責めろ、おまえは逃げたっていいんだ」「できないわ」「……」


「私は体を人質にとられているもの」テレビの中で私が写っていた。「必ず夢を掴みます」マヤ・ダイセンはテレビの中でインタビューに答えていた。私の顔ダイセンは私に向かって微笑んだように見えた。


魔法はまだ解けない。魔法の時間はまだ終わらない。


「マジック・アワー」終わり


「ワイルド・カード」に続く

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