マジックアワー4

未知の怪物がヴァルハラ地区で暴れているという噂は瞬く間に広がった。当初は他の地区の仕業ではという憶測も出たが、多くの外国資本他の地区μTミュートが襲われればそのような意見も下火になる。数十年前の徒骸トモガラを知るものは、その再来と恐怖した。そしてマカネのところにもその脅威が!


能異頭ノイズって言うそうですよ。ミュート静音の相手だからノイズ雑音ってことらしいわね」ご主人様わたしに肩を揉ませながら私のありがたいメイド長サマのアイリーンはテレビを見ながら世間話をする。「どこから聞いたの?テレビでは言ってなかったはずだけど」


「私はなんでもご存知なのですよ。ご主人様マカネ。これは私の知り合いのヘンタイが言っていたんですがね。ご主人様、あんた様、噂のノイズに恨まれてますわよ」「どういうこと?」「あいつは例のピョンピョン男の成れの果てですぜ、ご主人様。狙われたのはどれも奴に勝った選手ばかり」


「面倒はごめんだわ、私は身体を取り戻したいだけなの!」奴の声で話しているというだけで虫唾が走る!端から見れば中年男性が女の子の真似をしているだけにしか見えない。女の子の真似をしているのは私の身体を持っていった奴の方なのに! 「なかなかそのギャップ飽きませんよね」「黙って頂戴」


「間違えて公衆の前で女の子言葉使わないように大人の言葉を使ってください。私も女になってからずっとそうしてきていますよ。おっと揉む力が強すぎますご主人様」「もう知るか!」私はアイリーンの肩を揉むのをやめてこいつとの会話をやめどこかへ行こうとした。「おっとそろそろですね」「なにが?」「お客さんですよ、ご主人様」


能異頭ノイズ万物憎悪アンタッチャブルワールド”がマカネの住む家に迫ってきていた!


権能パワー万物憎悪アンタッチャブルワールド」捻じ曲がった筋肉と麺類が混じったような怪物は虫のような目を光らした。それはかつて操っていた機体のように狂ったように跳ね続けた。まるで世界に触れることをひたすらに嫌悪するように。


「ぴょんぴょん跳ねる芸は変わらないみたいね?パワーアップできたみたいだけどやることが変わらないのは三流の証拠よ」CENDRILLONサンドリヨンが能異頭の前にたちはだかった!「女のような言葉を使いやがって気持ち悪いわ!」能異頭が跳ねながら嘔吐の真似をする。


「あんたに言われたくはないわ!」CENDRILLONはかつて男の機体を一撃で沈めた強力なパンチを男の成れの果てである巨大な化物、能異頭にお見舞いした!


ようにみえた。拳は確かに能異頭を捉えたはず!「ふふふ。俺は神に力を授かった!我が権能は万物に触れることあたわず!権能・万物憎悪」拳は能異頭に触れるのを忌避したかのように逸れたのだ。それだけではない。能異頭が常に跳ねているのは地面もやつに触れれないからでは?


「ついに動き出したか。ナイトメア」アイリーンは、マカネの豪邸の屋上で腕を組んでご主人様の戦いを見守っていた。

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