小学校6年生になると遊びに行く範囲が伸びていった。自転車を乗りこなし、友達が住む隣町に行く回数も増えていった。遊ぶ時間もだんだんと遅くなり、空が黒く清んでいてもまだまだ遊べると無邪気に外で遊んでいた。


僕が友達の所へ遊びに行くように、友達も僕の所へ遊びに来る。住宅街で遊んでいると嫌でも目に移るあの家は始めてみる友達からすると興味が出るらしい。僕がご近所さんや親に質問をした時みたいに友達が僕に質問してくる。けれど返せる答えは全部同じで「知らない」「分からない」だった。


子どもの考えは単純でいて、最適で、答えに最も早くたどり着ける考えをする。大人なら社会性、周りの目を気にして出来ないことも僕たちはその行為の恐ろしさを知らずに行っていく。


夏休み─僕の家で友達がお泊まり会をすることになっている。僕を入れて三人、リーダーシップがあり、率先して皆を引っ張るタイプの友達。逆に誰かの後ろに隠れて、後を追いかけてくるタイプの友達。僕はその真ん中だった。


夏でも9時が過ぎれば空は真っ暗に包まれている。道を街頭と家の明かりが照らす。

僕たちはこっそりと家を抜け出し、あの家に向かった。


夏といえば花火、祭り、プール、様々な風物詩が存在する。その中には肝試しも入っている。

肝試しついでにあの家を探検する。提案をしたのはリーダーシップのある友達だった。僕たちはすぐに乗り気になり、決行日を決めて、今日になった。


僕たち三人は縦に並んで、家を見る。デカイ、存在感がある、暗い、怖い、いろんな感情が心のなかでグルグルと掻き回される。

先頭の友達が試しにインターホンを押してみる。

一回…二回…三回、鳴らしても応答も、部屋の電気すらつかなかった。やはり誰も居ないんじゃないのか。


先頭の友達が何も言わず、敷地に入っていく。

「な、なにしてんの?!」

僕は思わず大きな声を出してしまい、周りを確認する。僕たち以外誰も居ない。分かっているが声を小さくしてもう一度聞く。

「...なにしてるの?」

「何って、中に入って確かめるんだよ」

友達は止まることなく進んでドアの前までいく。

「ダメだよ。さすがに怒られるよ」

─そーだよ。と僕と後ろの友達が止める。

「大丈夫だよ。誰も居ないと思うし、これも肝試しっぽいじゃん」

友達はいたずらする笑顔で言い、ドアに手をかける。

ガチャと、開く。

「....ッ!?」

三人が驚き、先頭の友達がよっしゃ!とガッツポーズをして中に入っていく。


「俺が、「大丈夫、入ってこいよ」って言ったらお前らも来いよー」


友達の後ろ姿と共に開いたトビラはゆっくりと閉じていった。


バタン....ガチャ...

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