第13話 ロリ先輩VSビッチギャル
「はいっ!?」
「ふえっ!?」
さすがにその一言にはオレも夏美さんも揃って声を上げて目を丸くする。
だが、それに構うことなく冬乃先輩はオレのズボンに手をかけ、それを無理やり脱がそうとし始める。
「ちょ、先輩! や、やめてくださいー!!」
「いいから脱げー! 君の下半身のものを確認しないことには君が短小かどうかわからないだろう。安心したまえ。仮に君が包茎であろうと私は気にしない。むしろ、そこから君のED克服に繋がるアドバイスをだな……」
「そんなどうでもいいですからー! っていうか、仮に治るとしても見せたくありませんーー!!」
なんとかズボンを引きずり下ろそうとする先輩に抗うオレ。
となりでは夏美さんがどうしていいか分からずオロオロとしている。
するとそんな夏美さんに先輩が声をかける。
「そこの君! 手伝ってくれ! 彼のズボンを下ろし短小を確認する!」
「え、ええー!?」
「ちょ、誰が短小ですか!? 勝手に決めないでください! つーか、夏美さんもそんな先輩の世迷言に耳を貸さないで、先輩を引き剥がしてくださいー!」
「君、ここにいる透君のEDを治したいのだろう? ならば、私と一緒に彼のイ○モツをポロリする手伝いをしてくれ」
「あ、え、あ、ええ、ああ、うああああああああ!?」
オレと先輩。双方の言い分に頭を抱える夏美さん。
というか、先輩のとんでもワードに顔を真っ赤にして頭を抱えているようにも見える。
そんなオレと先輩のズボンをかけた一進一退の攻防が繰り広げられているまさにその時、
「ちょっとー! 透っちがここにいるって本当ー!? あー!? つーか何してんのよー!?」
突如、教室の扉が開き、そこから駆け込んできた秋葉さんがオレと冬乃さんの間に割って入り、それに押されるように冬乃さんが離れる。
「む、邪魔が入ったか」
「邪魔って、アンタなに考えてんの!? いきなり透っちのズボンを脱がせようなんて痴女なの!? 痴女なの!?」
「失礼なことを言うな。私は痴女などではない」
「じゃあ、なんでアンタ脱いでんのよ!? その格好もう十分痴女じゃん!!」
顔を真っ赤にオレを先輩から守るように立ちはだかる秋葉さん。
確かに。今の先輩の格好はどう考えても痴女だ。
「これはそちらの少年のEDを治すための一環だ。裸の女子に少しでも反応してくれればという私なりのささやかな提供だ」
そんな冬乃先輩の説明に疑わしい視線を向ける秋葉さん。
しかし、先輩は特に悪びれた様子もなく続ける。
「とにかく私が彼のズボンを脱がせようとしたのは彼が短小によるコンプレックスでEDになっているのではないかと思い、その確認をしようとしただけだ。他意はない」
「え? 透っちって短小だったの……?」
と、今度は秋葉さんがなにやら引きつった顔でオレを見るが、すぐさま瞳をキラキラと輝かせてオレの手を握る。
「ううん! 大丈夫! ぜんっぜんっ大丈夫だから! うちは透っちが短小で全然平気! むしろ、大きすぎると嫌がる女子もいるって聞くし、うん、透っちの短小はありだよ! うちは気にしない! 全然気にしないから! だから、短小が原因で勃たないならそんなこと気にすることないからね」
そう言ってまるで捨てられた子犬を優しく見守る母親のような目でオレを見つめる。
「いや、あの、短小じゃないですから。それはあっちの先輩が勝手に言ってるだけですから」
「え、そなの?」
「はい。……まあ、他の人の大きさを知らないので短小じゃないかどうかわかりませんが」
というかそんなのを比べ合う友人とか普通に嫌だよ。
「ほら、君がそう言っているだけで世間一般の大きさから比べると君は短小かもしれないだろう? だから、それを確認するためにも私に見せてくれと言っているのだ」
「いや、そうは言いますけどあなただって一般男子の大きさって分かるんですか?」
「問題ない。私は常にネットでその手のエロ動画を見ているから」
『ぶーーーーーーーーっ!!!!』
先輩の再びのとんでもない発言に今度はオレだけでなく、夏美さん、秋葉さん、全員が吹き出す。
「や、やややや、やっぱりアンタ痴女じゃないのーーーー!!」
「だから、違うと言っているだろう。私は別に自身の性的興奮のためにエロ動画を見ているわけではない。研究のためだ。EDの研究をするためには男性器に見慣れる必要があるだろう。私は幼少期より、この訓練をしているので今更男性器の一つや二つで動転することはない。むしろ、この年齢になれば逆に見飽きているくらいだ。今さらどのような形の男性器であろうと狼狽することはない」
さらりととんでもないことを告げる冬乃先輩。
いや、あの、もうどこから突っ込んでいいのか分からない状態なのですが。
そんな呆然とするオレ達にさすがの先輩もこれ以上は無理と悟ったのか大きくため息を吐き、首を振る。
「やれやれ、仕方がない。嫌がる相手に無理に迫っても逆にEDを加速させるだけか。では、今回はこれくらいにしよう。次回はもう少し君がリラックスできる環境にしてから治療に当たるとしよう」
「は、はあ……」
と、そんなこんなでオレ達は先輩のいる教室を後にする。
というか結局なんの解決にもなってないんだが。
「と、とにかく透っち。うちは短小でも不能でも透っちの助けになるから何かあったら言ってよね!」
「はあ……」
そんなことを告げる秋葉さんに対し、それまで顔を俯かせていた夏美さんがバッと顔を上げる。
「透君! 私も透君が短小でも全然気にしないから! むしろ一緒にそのコンプレックスを克服してEDを治そう!」
と力強くオレの手を握る。
なんか気づくと不能ってだけじゃなくオレが短小ってことになってるんだけど。
どうすればいいの、これ?
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