第7話
「みんな、気を付けて!」
「どうした?」
魔王城の門を目の前にしたところで勇者様が剣を引き抜き身構えました。
どうも、ゴリラさんとニパさんは気が付いていないみたいですが……。
門の両隣りに悪魔をかたどった石像が1体ずつありますねぇ。
あはは、つまり多分よくあるアレですよぉ~?
「ガーゴイルが居るよ!」
「はっ! そう言う事でござるか!」
「うむ、門番が居ないのも可笑しい」
そうです、ガーゴイルさんが石像のフリをして魔王城へ入ろうとする冒険者を待ち構えていたワケです。
そうは言っても、よくある話ですし、何よりも魔王軍の砦にいた魔物さん達に比べれば大した事無いんですが……。
全部私が倒しちゃいましたからね☆
ですが、勇者様は魔法剣使えるのでしょうか?
ゴリラさんは見るからに物理攻撃しか出来なさそうですし、ニパさんはそもそも僧侶ですから攻撃力に期待は出来ません。
いえ、この世界のガーゴイルさんが、石像が魔物になったのか、悪魔が石像に擬態するかまではまだ分かりませんが、もしも前者だった場合先程の事が危惧される事になります。
勿論、後者でしたら恐らくゴリラさんの攻撃力で十分だと思います。
ここは、念には念を入れて私がライトニング・ボルト位の魔法を使えば良さそうですね☆
「ここは僕の魔法で!」
勇者様が『シャイニング・ボルト』の魔法を使いました。
「どうだ?」
「来るでござる!」
魔法を受けたガーゴイルさん達は、正体がバレたと思ったのか此方に襲い掛かってきました。
人間よりは少し大きいですね、翼も生えて空を飛びました。
武器は槍です、勇者様は武器が剣ですので不利ですね。
「チッ、厄介そうだな!」
「拙者は支援魔法を掛けるでござる!」
ゴリラさんが斧を身構え、空から強襲しようとするガーゴイルさん達に応戦します。
ニパさんは少し下がり、皆にプロテクションの魔法を掛けてくれました。
うーん、これ位の強度ですと普通の効果ですね、しかたありません、ここはライトニング・ボルトを保持しつつ、こっそりと私のプロテクションを掛けておきましょう!
えへへ、私のプロテクションならサイクロプスさんからみぎすとれ~と☆を貰っても傷一つ付かないんですよ!
「クッ!」
ガーゴイルさんが勇者様に強襲し、勇者様はそれを剣で受け止めましたがその威力は凄く、苦しそうな表情をしています。
「リュッカ!」
ゴリラさんが叫び、勇者サマを狙っているもう一体のガーゴイルに睨みつけました。
「ダルシン殿!」
ニパさんが『パワーアップ』の魔法を使いました。
「おう!」
ゴリラさんが2体目のガーゴイルに向かって攻撃を仕掛けました。
ガキン!
ゴリラさんが放った一撃は乾いた音を周囲に虚しく響かせるだけでした。
どうやらこの世界のガーゴイルさんは石像に魂がタイプでした。
「ダルシン殿!」
「まだだ!」
「ダルシンさん、後!」
この時の隙を、1体目のガーゴールさんが見逃してくれなくって、勇者様と戦っていた所を止めてゴリラさんへ向かって強襲を仕掛けてきました。
「なんだと!」
勇者様の声に反応したゴリラさんは咄嗟に身体をひねる事で急所を貫かれる事だけは回避しようとしました。
「ダルシン殿ッ!!!!」
その代わりに、ガーゴイルさんの一撃がゴリラさんの右肩に直撃しました。
「う、うが……?」
「ダルシン殿?」
そうですね、ガーゴイルさんが態々膨大な隙を晒してくれたワケです。
「皆さん! ガーゴイルから離れて下さい!」
ここでななみちゃんが、さっき完成させた『ライトニング・ボルト』を発動させます!
その直後、轟音と共に天空から一筋のイカヅチがガーゴイルさんの脳天に向かって放たれました。
勿論、ガーゴイルさんを一撃で葬れるだけの威力で放った魔法ですから、直撃を受けたガーゴイルさんは粉々に砕け散りました。
「ななみさん?」
その威力を見た勇者様が驚きの声を上げました。
「リュッカ、まだもう一体居るぞ!」
「そ、そうだね、もう一度、ななみさんが魔法を詠唱する時間を稼ごう!」
「御意でござる」
「お願いします!」
私は、彼等の意見に従いました。
本当でしたら、今すぐ魔法を完成させてもう一体のガーゴイルさんを倒す事も出来ますが、ここは皆さんの流れに合わせましょう!
「俺が行くぞ!」
「僕も行きます!」
「ダルシン殿! 肩を治すでござる!」
「いや、問題無い」
「ござる?」
勇者様とゴリラさんがガーゴイルさんの注意を引き付ける為前に出ました。
一方、ガーゴイルの攻撃を直撃されて重傷を負っているハズのゴリラさんがピンピンしている事に対してニパさんが不思議な顔を浮かべています。
どうやら、私が唱えたプロテクションに気付いていない様です☆
それは兎も角、私も『ライトニング・ボルト』を完成させいつでも発動出来る準備を整えました。
「うおおおおお!」
ゴリラさんが雄叫びをあげ斬りかかりました。
「これでどうだ!」
勇者様も続けて一閃を放ちます。
どちらも乾いた音を立てるだけでしたが、私が詠唱する時間を稼ぐのが目的ですのでこれで十分です。
「皆さん、行きます!」
「おう!」
「分かった!」
私が合図をし、二人が一旦下がった所で『ライトニング・ボルト』を発動させました。
勿論、2体目のガーゴイルさんも粉々に砕け散りました。
えへへ、演出って大事ですよね☆
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