第8話
「ふぅ、何とか倒せたね」
「ああ、ななみが居なかったらヤバかった」
「ござる!」
「そ、そんな事ないですよぅ? 皆様が前で戦ってくれなかったら魔法を完成させされ無かったですよぅ?」
勿論嘘ですけど☆
でも、こうやって言った方が勇者様のウケも良いと思いますからね!
「ななみさんって謙虚なんですね」
「うむ、俺もそう思う」
「ぬふふ、リュッカ殿? 例のあの娘が恋しくなってきたでござるか?」
「え? いや、そ、そんな事無いよ?」
「ぬふふふ、嘘はいかんでござるよ? 年頃の少年が可愛い彼女と離れ離れになり随分と時間が経っておるでござる」
えへへ♪ 思ったとーりの流れになったじゃないですか☆
……あ、あれれ? ゆーしゃ様の想い人の話が出て来たんですけどぉ!?
むぐぐ……分かっていましたけど、相手も中々手練れじゃないですか!?
「おい」
「ぬふ、ダルシン殿も」
「俺はそう言う話に興味は無い」
「知らないでござるか? ダルシン殿は意外と女性から人気でござる」
「そうか」
えええ!? あのゴリラさんが良いって女性が居るんですか!
むー……でもでもですよ? ゴリラさんですから、チンパンジーさんとかがきっと興味示すんじゃないですか?
きっとそうですよ! きっときっとそうですから!
「と、兎に角中に入ろうよ!」
「そうだな」
「ぬっふっふ、酒場での楽しみに取っておくでござるよ!」
そんな感じで話を終えると、私達は魔王城の中へ入りました。
『グハハハ! よくぞ参った勇者リュッカとその一行よ!』
「誰だ!」
魔王城の中に入ると、何処からとも無く怪しげな声が響いてきました。
それに対して勇者様が返事をしました。
『我は魔王ハデス! 我の思惑通り我が居城へ赴いた事を感謝しようぞ!』
「くっ……ふ、ふざけるなぁぁぁっ!」
恐らく、勇者様の仲間を誘拐して誘い出したら勇者様がやって来てくれたことに対して言ってるのでしょう。
それにしても、この魔王さんは砦が一瞬で壊滅した事とか何も思って無いんでしょうか?
『フハハハッ! うぬは我が見込んだ勇者であろう! 魔王軍最終防衛ラインであるあの砦を一瞬で壊滅させたのだからな!』
「なんだって!?」
あ、やっぱ魔王も気にしていたみたいですね?
アハハ? 魔王サンからしたらあの砦は私達が一瞬で焼き払った事になるんですよねぇ?
えっと~私達からしたら? 魔王さんのメテオが誤射して味方をやっちゃいました(テヘッ☆)とゆー事になってるんですよね☆
いやーでも、そのぉ、勇者様がものすごーくきょとんとした表情してるんですけど~きっと気のせいですよねー?
『グハハハッ! うぬの恋人を返して欲しくば我の居る最上階まで来るが良い!』
「ま、待てっ!」
はにゃ~、わざわざ自分の居場所を教えてくれる魔王サンって優しいんですねぇ~?
あれ? 今、ゆ~しゃ様の恋人って言いませんでしたかぁ!?
はわわわ!? き、きっと私のそら耳ですよねぇ?
にゅぅ~、わ、分かってたんですけどぉ?
さ、さっきニパさんもいってましたけどぉ! ま、魔王サンからもそーやって言われると……ち、ちがいますよ! ゆ、勇者様なんですからそーゆー女の子の一人や二人位いたって不思議じゃないですから!
「ねぇ? ななみん、そんな顔してどうしたのさ?」
そう思っていると、ポン太君が小声で私に話掛けて来ました。
「はにゃにゃ!?」
「君の考えてる事は何と無く分かるけど」
「ポ、ポン太君!?」
「ななみんからしたらあの魔王も大した事ないんだろうけど……」
はっ!? そ、そうでしたぁ! 勇者様からしたらあの魔王サンでも大苦戦するんでしたね!
「なんでもないですよぅ?」
「ならいいけどさ」
あはは、ポン太君に助けられましたね。
「むぅ、あの口振りでは魔王殿はレンカ殿を人質に取ってるでござろう」
「そうか? あの娘がいるといっていたが、まさかその様な下衆な真似はしないだろう」
「ダルシン殿? 相手は魔王でござろうぞ、卑怯な真似をしてくると思った方がよいでござる」
「ふむ、俺にはあの魔王とやらがそんな事しないと思うが……まぁいいだろう」
はうぅ……勇者様の恋人さんのお名前が出てきちゃいましたよぉ~。
ゴリラさんとござるさんが言い合ってますけどぉ、私、そんな事よりもそっちの方が気になっちゃいますぅ……。
はにゃぁ……確かにゴリラさんのいう通り私もそういうのはないと感じたんですけどぉ……。
でもでも、ござるさんのいう通り、相手は魔王サンですから、そういう事を警戒するのは大事だと思いますけどぉ……。
あわわわ!? レ、レンカさんを見捨てれば勇者サマが私のモノになるなんてこれっぽっちも考えていませんからね!
「ななみさん? どうしたの?」
「はにゃ!? ななな、なんでもないですよ!」
はうぅ~ちらっと勇者サマを見たのがばれてしまいました……。
「それなら良かった……いくよ、みんな!」
勇者様の掛け声と共に私達は魔王サンの居場所へ向かいました。
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