第2話「異世界到着なのです☆」

 やはは~青空と白い雲にサンサンと輝く太陽さんが居ます!

 良いですね~私、こー言った天候大好きです☆


「で、ななみんここは何処なのさ?」


 はうぅっ!? 無事転移まほーが成功して私がちょーっと感傷に浸ってる所でジト目で見ないでくださいよぉ。


「にゃはは☆」


 ぽん太くん、ごめんね☆ 私もここが地上って事しか分からないのー。

 

「はぁ、笑って誤魔化してもダメだってば、見渡せば森か山でこの辺りは草原しかないから僕は地上だって思うけどさぁ?」

「お日様が気持ち良いですー☆」

 

 フンフン、ぽん太君のいうとーり素敵な草原が広がってるのです☆

 えへへ、寝っ転がったら気持ちよさそうですね☆


「ちょちょちょ、ちょっと、それじゃあの勇者さんが魔王にやられちゃうよ!」


 私がご機嫌な様子で草原に寝っ転がった瞬間、ぽん太君から鋭いツッコミが入りました。

 鋭利な刃物と言わんばかりのツッコミを受けた私は。

 

 はっ! 私がのんびりしている間に勇者サマがまおうにやられちゃったらここに来た意味が無いのです!

 

 と、冷静な判断をさせてもらいました。

 

「むむむ、それはマズイです!!」

「そうだよ、早く勇者さんの所に行こうよ! ななみん、飛翔魔法程度簡単に使えるでしょ!」

 

 ぽん太君のゆーとーり簡単に使えます。 飛翔魔法を使って空から周囲の様子を眺めちゃいましょう!

 私は飛翔魔法を使ってポンタ君と一緒に空高く舞い上がりました。

 

「にゃははは~景色が綺麗ですよぉ~☆」


 飛翔魔法を使って空を飛んでみれば素敵な景色が広がりました☆

 空を飛んだ甲斐があったと言うモノです!!


「えっとぉ、ななみん? 僕達景色が見たいワケじゃなくてさー、僕は勇者さんの場所のヒントが手に入るんじゃないかって思ったんだけどさー?」

「にゃは?」


 どよーんとした目つきで指摘するぽん太君。

 はわわわわ、そーいえば勇者サマの居場所なんてまったくもってみじんこもびっくりな位分からないです!?


「えっと、ななみーん?」


 どーすれば良いのか分からず石像の如く硬直をしてる私をぽん太君がゆびでつっつきます。

 はっ!? そうです、勇者サマの魔力を探知すれば良いのです!


「でもでも、あっちの方から強い魔力を感じます!」

 

 あれあれ? おかしーなー? 私が探知した魔力はなんだか闇の力が強い気がするのー。

 大丈夫なのです! これはきっと魔王の魔力ですけど、魔王の近くに勇者サマが居るのは明白です☆

 

「うーん、確かにそうだけど……」

「きっとあの辺りに魔王が居るんですよ! そうと決まればレッツゴーです☆」

「魔王っておーい、ななみん? いきなり嬉しそうな顔して一体どーしたのさ?」


 えへへ、あのいけめん勇者サマにもうすぐ会えるんですよ☆ 平常心で居るなんて無理ですよー☆

 でもでもー? 勇者さんとどうやって会いましょー? 具体的な場所は分からないんですよねー?

 むむむ、そうです、私が魔物さんと戦ってピンチになった所を勇者サマ助けて貰うのです!

 THE王道なのです♪

 そうと決まれば全は急げです☆


「ちょっとななみん? そ、それって隕石系の魔法だよね! なんでそんな魔法の詠唱始めてるのさ!!!!」

「にゃははー♪」


 えへへ? ポン太君が言う通り、私はプチメテオを召喚する魔法を詠唱してます☆

 にゃははーゆーしゃ様をお助けするヒロインが隕石に乗って華麗に登場しちゃうんですよー? 名付けて、ゆーしゃ様のはーとをがっちり掴んじゃう作戦デス☆


「ちょ、ちょっと! なんで僕達の方に隕石が向かって来るのさ!!!!」

「だーいじょうぶ☆」

「だだだ、大丈夫じゃないって! ななみん!? どうするの!! え?え?隕石乗っちゃうの!!!!」

「にゃははははー☆」

「わ、わ、わ、僕はまだ死にたくないよ!」


 私はプチメテオに乗り、愛しき勇者様の下へ舞い降りた訳です。


 

 *



 ところ変わって此方は勇者一行の話になります。

 勇者一行は魔王が居る場所に向かい森林地帯を侵攻している最中でした。


「行くぞ、リュッカ」


 ゴツイ体格の男が言いました。

 重厚な鎧に身を包み、立派な戦斧を担いだ彼は恐らく戦士でしょう。


「うん、行こう」


 ブレストアーマーに身を包み腰には長剣を携える少年、勇者リュッカが返事をしました。

 風になびくサラサラの金髪に、薄青い輝きを見せる瞳にはこれから繰り広げられる戦いへの覚悟を感じる事が出来ます。

 

「フフッ、これもまた、命運でござろう」

 

 魔法の込められたオーブを先端に付けた杖を携え、法衣に身を纏った僧侶と思われる男がそう言いました。


「みんなごめん、勝てるかも分からない魔王との戦いに巻き込んでしまって」

「水臭い事言ってどうする」


 急に重い空気を纏い口を開いたリュッカに対して男戦士が彼の肩をポン、と叩いて親指を立て言いました。


「そうでござる、拙者達は仲間でござろう」

「そうだね、有難う」


 リュッカはにこっと笑いながら言いました。


「はて? アレは何でござるか?」


 そんなやり取りの中、僧侶空を指差しながら言いました。


「いん……せき?」


 リュッカがぼやっとしながら呟きます。


「まて! こっちに来ないが、近くに落ちるぞ!」

 

 戦士が叫んだところで



 ドゴオオオオオン!!!!



 轟音と共に大地が激しく揺れました。


「み、みんな、大丈夫?」


 大地の揺れが収まった所でリュッカが周囲を恐る恐る見渡しながらゆっくりとした口調で言いました。


「クソッ! 魔王の野郎隕石魔法を使うのか!」

「厄介でござる」


 戦士の言う通りもしもこの隕石魔法の術者が魔王であるとすれば大変な事になります。

 今回は奇跡的に被害が無かったのですが、もしもまた隕石を降らされてしまって同じく被害が無い保証はありません。

 

「でもっ! 例え魔王が隕石を降らせる魔法を使えたってそれでも僕達がやらなきゃ!」

「うむ、そうだな」

「拙者は若い女と……」


 リュッカが仲間を鼓舞したのですが、戦士は納得する一方で僧侶はどうやら少し本音が出たみたいですが、それは気にしてはいけないでしょう。


「どうかしたか?」

「い、一緒に遠くから眺めたらどうなったのか考えたでござる」


 戦士に鋭く睨まれ萎縮した僧侶は慌てて弁解の言葉を並べました。


「そうか」

「ははは、ニパさんらしいね」


 この戦士は非常に硬派なのでしょうか?

 その若い女性について探究する事はありませんでした。


「俺が様子を見て来る」

「分かったよ」


 リュッカが了解し、戦士の偵察を見送りました。

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