第3話 原点

次の日の放課後、約束通りに俺は魅音の家を訪れていた。


ピーンポーン              電子音が家の中に鳴り響く。


はーーい


その音と同じ高さの声が返事として返ってくる。昔から思っていたが魅音の声は良く通っていて、綺麗な声だ。


そんな事を考えていると、扉が開いて魅音がぴょこっと顔を出して手招きしている。入って良いって事だよな。


「お邪魔します」


「どうぞ どうぞ」

魅音をそのまま大人にしたような包容力がカンストしている綺麗な女性が出てきた。

彼女は魅音のお母さん、明美さんだ。

俺も昔は、良く魅音の家で遊ばしてもらっていたからお世話になっていた。それにしても綺麗だな。多分30後半だとは思うが肌など良く手入れされていて、初めて見たら20代と言われても信じてしまうだろう。


「明美さん お久しぶりです」


「いろいろ大変だったわね またなんかあれば相談してね」


「ありがとうございます」


やっぱり、この人は凄い。話しているだけで落ち着くような、癒されているような感じになる。


「お母さん! 光輝は私のお客さんだよ!」


「ふふ そうだったわね

昨日の夜なんてその話しかしてなかったものね」


「もう それは言わないでっていったよね」


「そうだったかしら ふふ」


「そうなの! 光輝こんな人スルーして行くわよ」


「わぁ 反抗期かしら」


にこやかにそんな事を言っている。お母さんの方が1枚上手だったらしい。


ペコリとお辞儀をしてその場を離れる。


先を歩く魅音が、急に振り返ってくる。


「さっきのことは気にしなくていいから!」


「? さっきのことって何だ?」


「しっ 知らないならいいわよ」


そして、魅音の部屋に通された。

そこには女の子の部屋イメージがぶち壊されている部屋が広がっていた。

部屋中にはジャニーズではなく、アニメのポスター。棚にはお人形ではなく、フィギアが並んでいた。なんかクセが強い。


「今日は光輝に元気が出るアニメを一緒に観てもらうわ」


「アニメ?」


「そうよ 私は辛いことがあるたびにアニメから力をもらっているわ」


「そうなのか」

初めて知った。


「って事で一本目行くわよ」


「何本も行くわよ なのか?」


「何本も行くわよ なのよ」


俺は魅音から渡されたクッションを敷いて、テレビの前に座る。魅音は俺と同じクッションを胸の前で抱いてテレビの前に座って自分の横をポンポンと叩いている。


「何だ?」


「えっ! 光輝知らないの」


「まじで知らないんだが」


「なかなか 強敵ね」


強敵とは何のことだろう。しかも私がアニメで培った知識が意味なかった、、とかなんとか言って凹んでいる。


「結局、さっきのはどういう意味なんだ?」


「もう 私はなんでこんな恋愛偏差値ゼロのことを、、 バーカ」


あれ?なんかキレられた。


「本当にどういう意味なんだそれ」


「いいからこっち来なさいって事よ クソ真面目」


「あぁ クソ真面目はあながち間違ってないな」


「そういうのいいから ほらこっち来なさい」


「ああ 了解」


そう言ってお尻2個分魅音側にずらして近づく。2人の距離はZeroだ。


「へっ? なんで光輝はそんなナチュラルにくるのよ!」


「だって魅音がこっち来なさいって言うから」


「そっ そうだけど、! 心の準備が、、、」


「アニメ観るのには、心の準備も必要なのか やっぱり、気合が違うな」


「ってそういう事じゃないけど、もう、、めんどくさいからそういう事でいいよ」



「まぁ いいわ  じゃあ見始めるわよ」


そう言って魅音はDVDをケースから取り出す。


「まずは、妹の事を大切に思っている主人公に自己投影して物語にのめり込めば少しは日々が気楽に感じるかも!って事で



青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」


「そうなのか? じゃあ宜しく頼む」


「麻衣さん 麻衣さん 麻衣さん」

ヤバイ、DVDの準備をしている魅音が壊れた。



たしかにこの作品は、笑いとシリアスな展開のバランスが良くて初めてラブコメ?というジャンルを見た俺でも楽しめた。




こんな日が二週間程続いたある日のこと。


魅音が急に立ち上がった。


「光輝聞いてほしい


私は、アニソンシンガーになる!


それで、私の曲を書くのは、、、、、、







   


   光輝!あなたしかいない。   」




「はぁ?」


こうして俺と魅音の音楽家人生は第一歩を踏み出したのである。、、、、



、、、、ってなんなんだよそれ!


「そんなこと初めて聞いたぞ」


「当たり前でしょ 今初めて言ったんだからあ」


「まず、音楽で飯食うのなんてなかなか出来ないだろ」


「出来るわ だって私とあなたは音楽の天才だもの」


「天才?」


「そうよ

私の両親はオペラ歌手、あなたのお父さん、、だった人はあの天才作詞&作曲家MASAよ。」


「えっ、、、、、はぁぁあああーーー!」


「あれ知らなかったの?」


「知らないも何も本当かすら信じてないんだが」


「そっか本名一切出してないもんね 近藤 涼太だよ。 聞き覚えあるわよね」


懐かしい響きが耳に残る。近藤、、、

俺の昔の名字だ。


「でっ、でも 近藤なんで名字いっぱいいるだろ」


「100%よ だってうちの父さんと知り合いだもの」


こうして、本当に俺の音楽人生が始まってしまった。




あとがき



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ブレックファーストです。

次回も楽しみに。

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超絶仲の悪い幼なじみと1つの共通趣味でラブコメをしたいと思います ブレックファースト @00709018

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