第15話●門番と門衛
俺は門番。
お城に勤めている人や商人なんかが通る門の担当をしている。
本来は通用門と呼ぶらしいが、正門に対して門としか呼ばれてないんじゃないだろうか。
お城では大勢の人間が働いている。
住み込みもいれば通いもいる。
通いのやつらはみんな顔見知りだ。
お偉いさんは通らないから顔を見てもわからない。
商人は認証札を持ってる人は名前もわかるが、荷運びして来る人の中にはたまに知らない顔があるから札持ちに確認する。
新規で突撃してくる商人は正門に回すから面倒はない。
俺は門番。
昼から夕方まで門に立っている門番。
通用門でもお城の門だから出入りはそれなりにある。
住み込みのやつらは必要な物を買いに出たりおつかいに出たりするが、顔がわからないから出るときに番号札を渡す。
番号札は使う数字が毎日違う。
1から50、30から80とか毎日変えるのは門番長の仕事だ。
番号札は割り札になっているから外から戻って来たら控え札と合わせて確認する。
王太子殿下が国王になられてから商人の数が増えているが、それもそのうち落ち着くだろう。
今日も商人が出た入ったり。
あの背が高い荷車の陰は見辛いが、出ていくやつだから大丈夫だろう。
俺は門番。
もうすぐ交替だ。
お堀の水が眩しいぜ。
仕事終わりの一杯は行きつけの親父の店で。
お、大棚の商人達が出てきた。
おいおい、橋の途中で止まるんじゃない!
振り返って忘れ物か?
そろそろお城に戻ってくるやつらの控え札を準備をしておこう。
俺は門番。
誰も名前を聞いちゃくれない。
※※※※※
ガラガラガラガラ
「なんだか荷物積んだ馬車が多いな」
「王妃様のご実家の辺境伯領に向かうんだってさ」
「へぇ、こんなにたくさん何を運んでいるんだろうな」
「余計な詮索は身を滅ぼすぞ」
「そうだな、俺達には関係ないな」
「すみません、お城で取り扱っていただきたい商品をお持ちしたんですがこちらでお願いできますか?」
「初めてですか?ではこちらに必要事項を記入してください」
「ありがとうございます。では」
「…………はい、ではこの半券を持ってそこに見える建物でお待ち下さい」
「わかりました。門番さん、ありがとうございました」
「俺達は門衛なんだけどな」
「気にしなきゃ同じなんだろ」
「一応役人なのに……」
ガラガラガラガラ
「また王妃様の馬車だってさ」
「辺境伯領ってどんなところだろう」
「騎士達ぐらいに強くなけりゃ生きていけない土地だと聞いたぞ」
「俺は門衛」
「俺も門衛」
ガラガラガラガラ……
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ほとんど同じだろうな、という感覚で書きましたが、分けるとしたらこんな感じらしいです。
門番→門の番人
門衛→門の開閉をしたり人の出入りを監視する役の人
今回は短いですがちょこちょこヒント?が隠れています。
各話にも少しずつつながりを持たせているつもりです。
あちこち読み比べて楽しんでいただければ幸いです。
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