003:ケダモノ公子のハーレム冒険記
【タイトル】
ケダモノ公子のハーレム冒険記
【ジャンル】
異世界ファンタジー、恋愛、ラブコメ、エロ
【概要】
ちょっとエッチなラブコメ冒険ファンタジー。
貴族の公子ロイドは、『周囲の女性がエロハプニングに遭う』という妙な呪いがついたネックレスを身に着けてしまう。
呪いのせいでケダモノ公子と噂されるようになってしまった彼は呪いの解呪を目指し、幼馴染の魔術師リーナ、新米の女戦士シャインと共に冒険へ旅立つ。
ハプニングが起きては周囲からの評判が下がっていくものの、ロイドの人柄に惹かれて何故か増えていく女性の仲間達。
これは、ケダモノ公子と呼ばれた少年と、彼に恋する女たちの、山あり谷ありの珍道中の記録である。
【1話試作品】
「ねぇロイド?
もう言うの何度目か分からないけどさぁ~……
どうして戦うたびにアタシのスカートが捲れていっちゃうのかな」
「わざわざ短いスカートにしなきゃいいんじゃないかな…
あと、無闇に爆発させたりしなければいいと思う」
赤く長い髪をツインテールにした魔術師リーナがスカートを整える。
さきほどの戦闘で炎魔法・フレイボムを使って派手にモンスターを爆殺していたのだが、その爆風で見事にスカートの裾が翻っていた。
彼女とパーティを組む少年剣士・ロイドとしては大変眼福である。
あとでビンタをもらうことも覚悟しないといけないが、男子として目が行ってしまうのはしょうがない。
ロイドの場合、事情はそれだけではないのだが。
「毎度毎度派手に見せつけて、恥じらいとかないのかな」
「あるわよっ!けどしょうがないでしょ、彼と組むって決めた時から、覚悟はしてたんだから!」
もう一人のパーティメンバー、青い髪をショートに揃えた女戦士シャインの疑問に、リーナは顔を真っ赤にしながら答える。
シャインからすれば、ロイドとリーナが幼馴染であるというのは聞いているが、下着を平然と見せられる関係にあるとは。
「ケダモノの呪いかー。最初は何の冗談かと思ったんだけどねー…」
冒険者として活動していれば、呪いのアイテムの一つや二つをお目にかかることはある。
うっかり使用してしまったら、きちんと解呪するまで様々な苦悩に苛まれ、最悪の場合死に至る。
しかし、この呪いのアイテムというのは大概、作成者の妙に捻くれた執念で作られた物も多く、パッと聞いただけでは危険性が分かりにくいものも多い。
ロイドはまだ冒険者になる前、とある呪いのアイテムを偶然装備してしまい、ある呪いを受けた。
装備品のネックレスは未だに彼の首に巻かれており、もう何年も経つというのに未だに解呪する目途はたっていない。
肝心の呪いはどんなものかというと…
「装備者の周囲の異性が恥ずかしい目に遭う、ね。
いったいどうしてこんな呪いになっちゃったのやら」
「でも、実際危ない呪いなのよ、これ」
「うん、こないだ身を以て味わったよ…」
シャインは先日の冒険で受けた辱めを思い出す。
初めて3人で冒険に出た際、どういうわけかスライムの大群に囲まれたのだ。
通常なら大した敵ではない、1匹ずつなら余裕で倒せる雑魚モンスター。
ところがその時は、なぜか現れた何体ものスライムが一斉にシャインに飛び掛かってきたのだ。
予想を超える数のスライムに対応が間に合わず絡み取られ、ウネウネヌルヌルの物体で身体中まさぐられた感覚は今でも忘れられない。
それも、ロイド達が見ている前でされたのだ。
スライムごときに不覚を取ったことで戦士としての矜持を失い、ヌルヌル粘液であられもない姿をさらして女としての何かを失った気がした。
「ありゃーびっくりしたわ。ロイド君が助けてくれなかったら、どうなってたことやら」
「はは…リーナの爆発魔法で吹っ飛ばすわけにもいかなかったしね」
結局、剣士であるロイドが一体一体丁寧にスライムを切り裂いて救出したのだ。
ロイドの剣技自体は、新米冒険者とは思えぬほど高く、かなりの早業でスライムがどんどん駆逐されたのだが…
「まぁ、ズボンのベルトだけ綺麗に裂けたのも予想外だったけど」
「本当に申し訳ない…」
ロイドは深々と頭を下げてしまう。
救出の際、シャイン自身を傷つけないよう細心の注意を払っていたのだが、一ヶ所だけ衣服を裂いてしまった。
その結果ショートパンツがずり落ちて、下着を晒す羽目になってしまった。
それだけで済んでよかったと思うべきなのか、それとも女の服を切り裂いたことを怒るべきなのか…
「とにかく、ロイド君と一緒にいる女の子は、常にエロハプニングの危機にあるっていうのはよくわかったよ」
「…それが分かってもなお、いまだにパーティを組んでくれるのは本当に感謝しているよ」
「あはは、まぁ新米同士、最初に組んだよしみってヤツ?
ロイド君達は優しいし、ランクの割に強いから刺激にもなるしね」
3人とも冒険者ギルドに登録したばかりの新米である。
当初ロイドとリーナは2人だけで行動しようとしたのだが、新米が少人数で行動することをギルドは推奨していなかった。
そこでギルド側から、同じく新米でパーティメンバーを探していたシャインを紹介されたのだ。
パーティを組む前からロイドの呪いのことは説明していたのだが、シャインの方は田舎から出てきたばかりで知り合いもロクにいないということもあり、半ば強引にパーティに結成したのだった。
最初の冒険でのスライム事件に始まり、その後も森での移動中に何故か2人だけ枝が服に引っかかったり、ダンジョンの落とし穴でロイドの顔を尻で押し潰してしまったりと、何度かハプニングは起きているものの、ギルドからの依頼は順調にこなせていることから、パーティとしての相性はいいらしい。
加えて、荒くれ者が多い冒険者の中で、ロイドは線が細い美少年。
物腰も柔らかく紳士的であった。
呪いの力で多少恥ずかしい目に遭うことに目をつぶれば、付き合いやすい人物である。
なんでも地方貴族の次男らしく、剣術は実践的なものを身に着けているし、その上多少の魔法が扱えるという。
貴族と知り合えるというちょっとした打算も込みで、シャインは彼の仲間として行動することを選んだのだった。
「そういえば、リーナちゃんはどうしてロイド君と組んでるの?
幼馴染っていうのは聞いたけど、ボクがいなかったらロイド君の呪いで恥ずかしい目に遭うのって、リーナちゃんだけだったわけじゃん?」
「…だって、ロイドがそんな呪いを受けたのは、アタシのせいなんだから」
「えっ、そうなの?」
シャインは目をぱちくりとさせる。
普段は明るく勝ち気な性格のリーナがしゅんとしている。
そういえば、ロイドのエロハプニングには怒りこそすれ、許容しているように感じていた。
2人は結構深い関係であることは感じていた。
ああ、そういえば話してなかったね、とロイドは説明する。
「リーナも実は貴族なんだよ。それも結構大きなところのお嬢様なんだ。
僕の家とは家格が全然違うんだけど、父親同士が仲が良くてね。
昔から結構遊んでたりしてたんだ。
それである日、リーナの家で結構大きなパーティがあってね…」
ロイドは懐かしそうに話すが、リーナの顔は浮かない。
「このパーティーのために用意したものが、宝物庫に保管されていたんだ。
衛兵が宝物庫に行った時、僕とリーナもこっそりついていったんだよ。
子供らしい好奇心でさ、宝物庫ってどんなものがあるんだろうって。
その時に見つけたのが、これだったんだよ」
そういってロイドは、自身のネックレスを見せる。
銀製の鎖で繋がれ、黒い宝石が鈍く光っている。
「アタシがたまたま見つけて、ロイドの首にかけたの。カッコいいよねって……
それが、呪いのアイテムだったことなんて知らないで…」
「あの時は僕も浮かれていたけどね。
これに見合うカッコいい男になりたいって思ったから。
まさか宝物庫に呪いのアイテムが保管されてるなんて想像もしてなかった。
けど、すぐに取り外せないことに気が付いた」
もちろん、それぞれの親にこっぴどく怒られたわけだが、事態はそれで収まらなかった。
「このネックレスの呪いは非常に強力なものでね。
有名な呪術師や神官でも解呪できず、もう何年も外せていない。
引き起こすのはエロハプニングだけど」
世話役のメイド達には随分と迷惑をかけてしまった。
なんせ女性がロイドに近づくたびに何かしらが起こるのだ。
何故か何もないところでスッ転び、スカートの中が露わになるなど序の口。
突然ティーポットが砕けてびしょびしょになったり、階段で躓きロイドに胸を押し付けてしまったり。
メイドだけでなく、家庭教師だろうと、パーティーで出会う他の令嬢にも例外なく起きるのだ。
「ん?
じゃあさ、ロイド君が女性から離れればいいんじゃないの?
女性が近づくと呪いが発動しちゃうんだから」
「もちろんそれも考えた。けど、それこそが一番危険なことだったんだよ」
そう、そもそも女性が近づかなければいいじゃないか。
ハプニングを起こさないようにするにはそれが最善と考えるのは自然なことといえる。
だが、まさにそれこそが罠、真に恐ろしい呪いは他にある。
それを説明しようとしたところ……
グオォォォォォッ!!!
すぐ近くで、獣の咆哮が鳴り響いたのだった。
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