第535話 チンチン!
部屋にポツンと残された小さき真音子。
共に残されたタカトとビン子に興味をいだいたようである。
そんな
呆気にとられていたタカトは我に返ると、急に両手の親指と人差し指を目一杯に広げだした。
どうやら小さき真音子の体を目測し始めたようなのだ。
片目をつぶるタカトは思う。
――うーん、ちょっと小さいか……ストライクゾーンからはギリ外れてるな……
だがしかし! だがしかしである! 近い将来、あのお胸は絶対に大きく育つはず!
おっぱい研究家である俺の見立てに間違いはない!
って、おいおい! お前はロリコンか!
「ねぇ、ねぇ、お兄ちゃん……お兄ちゃんはだれ?」
「お兄ちゃんはね! 超人気アイドルなんだよ~ぉ!」
「嘘をつくな!」
ビン子がすかさず突っ込んだ!
だが、時すでに遅し……
それを聞いた真音子の目はキッラキラ♪
「すごーーーーい! お兄ちゃんアイドルなんだね! スゴ――――――い!」
もうね、小さい子は純真だから、大人のウソをすぐに信じちゃう。
「ねぇ! お兄ちゃん! ダンスみせて! ダンス!」
「えっ?
「タンスじゃないよ! ダンスだよ!」
「ダンスじゃないよ!
ズンチャ! ズンチャ! ズンチャ! ズンチャ!
「センスは! センス! ハイセンス!」
「イケてる俺らはサピエンス!」
「「イエェーーイ!」」
パン!
真音子とタカトがハイタッチ!
そ・こ・か・ら・のぉ~
親指を突き出す決めポーズ!
「「ホモサピエンスっ!」」
したり顔のお二人さん。
決まった!
お前らはサルか!
それを白い目で見つめるビン子ちゃんが一言。
「ナンセンス……」
先ほど
「オイ! お前ら! 風呂が準備できたから入れだってよ!」
事もあろうにその紙袋がしゃべりだしたではないか。
タカトとビン子はビックリして開いた口がふさがらない。
その様子をニコニコしながら見ていた真音子が、紙袋のもとに駆け寄った。
「これはイサクって言うの! うちの犬やねん!」
「ワン! ワン! ってなんでやねん! お嬢!」
そこには紙袋をかぶった男が優しそうな声で真音子に突っ込んでいた。
だが、その声とは裏腹にその男の体はがっちりした筋肉を身にまとう。
だが……
だが、何ゆえに、裸エプロン……
そのむき出しの強靭な胸板が、エプロンの胸元をパッツンパッツンに盛り上げて今にも張り裂けそうなぐらいに引きつらせていた。
キョトンとする真音子は答えた。
「えっ? 母様が言っとったよ。今日からイサクはうちの犬やって!」
「お嬢……あのですね……それはモノのたとえで……今日から金蔵家の使用人……」
「イサク! お手!」
「ハイ!」
ポン!
すぐさま膝まづいたイサクの手が、小さな真音子の手に乗せられていた。
「イサク! おかわり!」
「ハイ!」
ポン!
すかさず逆の手を乗せるイサク。
その手も先ほどの手と同様に傷だらけ。
おそらくその傷は、イサクの壮絶な過去を物語っているのだろう。
「イサク! チンチン!」
「ハイ!」
パッと立ち上がったイサクは、エプロンの裾をまくり上げた。
そこには男の下半身が!
「きゃぁぁぁぁ!」
ビン子は慌てて両手で顔を覆った。
だが……
だがである……
見てみたい……
ほんの少し見てみたい……
というか、確かめたい……
タカトのモノが本当に小さいのかどうかを確かめたい……
タカトの持つムフフな本では、そのモノのサイズがハッキリと分からないのだ。
やはりここは、実物を見て比較しないと……
そう、これはあくまでも真理の探究!
飽くなき向上心の一端なのだ。
けっして破廉恥な行動ではないのよ!
という事で、
ビン子は顔を覆う手の指先をそっと広げた。
そこには鼻の高い天狗のお顔!
……ではなくて
ウサギのお顔……
えっ?
ビン子は、ウサギの瞳をガン見した。
男の股間にウサギちゃん?
いやいや、よくよく見ればこれはチンチラだ。
耳のところがうまくパンツの紐になっていた。
かわいぃ~♪
というか……なにこれ?
そう、男が身に着けるティバックには大きくチンチラの顔が印刷されていたのである。
盛り上がる股間が、その愛くるしいチンチラの顔を立体的に描き出していた。
まさに芸術!
3Dアート!
そのウサギの両隣で、真音子とタカトがにやけていた。
そしてその後ろでは紙袋の男が、ボディビルダー並みのマッスルポーズ!
これこそまさに!
「「「ホモサピエンス!」」」
「「「「イエェーーイ!」」」
したり顔の三人が両の手の親指を突き出して決めポーズ。
「チンチンちゃうわ―――――!」
ビン子は、恥ずかしさを忘れてついつい突っ込んでしまった。
さすがビン子ちゃん!
ノリがいい!
まぁ、筋肉隆々の男は被る紙袋で表情が見えないのだが、たぶん、笑っていることは間違いないだろう。
というか、なんで、タカト君まで一緒に親指立ててるんですか!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます