②俺はハーレムを、ビシっ!……道具屋にならせていただきます1部2章~ガラポンいかさま道具!パちんこ玉赭ブロー編【カク12+なろう54合計66万PV】コレは親を殺された少年の復讐物語だと思う…
第483話 スネークホイホイpart 2(2)
第483話 スネークホイホイpart 2(2)
ハトネンに追いかけられるダンディは、今やトラックの中心ほどまで走っていた。
「おい少年! ゴールに向かって走らなくていいのか?」
その言葉に我に返るタカトとハヤテ。
その二人の目の前では、ハトネンに吹き飛ばされたグレストールが頭を振りながら、やっとのことで鎌首を上げようとしていた。
ハヤテはとっさに駆け出した。
今ならば、グレストールの脇を潜り抜けることができるかもしれない。
背に乗るタカトは、その勢いに振り落とされまいと、ハヤテの首筋の毛をギュッとつかんだ。
しかし、そのチャンスに気づくのが少し遅かった。
すでに、今やグレストールの三つの首は起き上がり、ハヤテたちの動きを追っていた。
だが、もう、そんなことを気にしている暇はない。
ハヤテは体を低くしてグレストールの懐に飛び込んだ。
うねる三本の首の影。
首が作る隙間が刻一刻とその形を変える。
ハヤテは止まることなく次々と隙間を潜り抜けていく。
だが、一つの蛇の口がハヤテを追って、みずらかの腹の下へと潜り込んだ。
蛇の牙がハヤテの後ろ足を挟もうと勢いよく閉じる。
しかし、ハヤテも勢いよく跳ねる。
次の瞬間、ハヤテたちの体は、蛇の影から光の下へと抜け出していた。
グレストールの背後へと躍り出たハヤテの足が地面を掴むと、一気にゴールに向かって駆け出した。
だがしかし、ハヤテの体に、黒い影が落ちてくる。
その頭上には残る二つの蛇の頭が迫っていたのだ。
――逃げきれん!
背後を気にするハヤテ。
その視界の端に迫りくるグレストールの緑の目の存在を感じた。
だが、次の瞬間、ハヤテの体が軽くなった。
と言うより、おもりが取れたようにふわっと浮き上がるような感じ。
タカトが叫ぶ。
「ハヤテ! ゴールを目指せ!」
いつの間にかハヤテの背から飛び降りていたタカトは、己が足でトラックにしっかりと立っていた。
だがその膝は、若干、小刻みに震えているのは笑えるが、それはココだけの秘密。
そう、タカトはグレストールの口に追いつかれそうになったのを見て、ハヤテの背から飛び降りていたのだ。
タカトは飛び降りる直前に、思ったのである。
このままでは後ろから迫るグレストールの口に二人とも確実に食われる。
だが、自分がハヤテの背から降りれば、ハヤテのスピードは加速する。
加速したハヤテはグレストールの口を振り切ることができるかもしれない。
そうなれば、そのままゴールへと駆け込むことができるだろう。
ハヤテが優勝すれば、エメラルダの黄金弓は取り戻すことができる。
いや、ハヤテが優勝しないと、黄金弓は取り戻せないのだ。
だからこそ、ハヤテがゴールしないといけない。
ならば、今の自分は邪魔でしかない。
ハヤテの足を遅めるただの重りなのだ。
今、自分ができることは何だ……
ハヤテを解放すること。
そして、グレストールをおびき寄せるエサとなること。
おそらく、ハヤテと離れればグレストールは人間である自分を狙うはず。
そうすれば、完全にハヤテはフリーになるのだ。
これこそ、タカトが考えた必勝法! スネークホイホイpart 2!
しかし、ハヤテは前足を突っ張った。
爪が地面を削り、スピードを殺す。
「バカが! お前ひとり残ったところで意味はないだろうが!」
ハヤテは、タカトに吠えた。
だが、背中越しのタカトは怒鳴る。
「お前がゴールしないと、みんなハッピーになれないんだよ!」
タカトはグレストールを睨み付けていた。
「タカト! お前はどうなる!」
「バカ野郎! 俺を見くびるな! コレでも俺は万命拳を修行した身だ!」
って、ほんの少しだけですけどね……
だが、震える足は、いつもと一緒だが、発せられる言葉には力強さがあった。
明らかに先ほどまでのタカトとは様子が違う。
「早く行け! 俺が死ぬ前にゴールして、このレースを終了させてくれ!」
――そういう事か!
ハヤテは合点がいった。
ハヤテがゴールすれば、この魔物バトルは終わる。
ならば、レースが終了したタカトの身はミーキアンの預かる身に戻るのだ。
すなわち、魔物バトルのレース外でタカトを食らえば、それはミーキアンに対してケンカを吹っ掛けたことと同義である。
さすがに蛇もそこまで馬鹿じゃないだろう!
瞬時に理解したハヤテの体は反転し、一気にゴールを目指して駆け出していた。
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