犠牲
急いで屋上の扉を開けて、階段を降りる。
いつもの景色と全く違う。
学校がボロボロだ。所々穴が空いてるし、凍っている。残っていた生徒はいたはずだけど、見当たらない。避難しているんだろうか?
「零ー!」
いやまだいたみたいだ。創が向かってくる。
「おい、どこにいたんだよ!今見て分かる通り大変なことになっているんだよ!急いで避難するぞ!」
「ああわかっ、、、」
その言葉を言い切る前に、壁から何かが突き破って、俺を吹っ飛ばした。衝撃で後ろにある教室の壁も突き破って、机も吹き飛ばし、やっと止まった。
なんだいまのは?くそ、体が痛すぎて動けない。でもなぜか幸運なことに骨が折れてない。
「零 大丈夫か!?」
「ああなんとか、骨は折れてない」
「良かった。何が、、、「危ない後ろだ!」えっ?」
何か、いや多分【氷】だ。次は創に向かって来ている。だが、遅かったか。このままじゃ創にあたってしまう。
しかし、突然。【氷壁】が発生して、創を守っていた。
「あぶねー咄嗟に出したら間に合ったわ」
そうだった。忘れてたけど、創は【創氷】に関しては天才だった。
「よし!次来ても守ってやるから、急いで逃げるぞ!」
「わかった。急ごう」
創に手をかしてもらい起きやがる。そして、避難することを優先する。
「やばい!またくるぞ!」
そして、すぐに壁の穴から勢いよく、またしても飛んでくる。でも、次は【氷】じゃない、人だ!
えっでもここ三階だぞ。どうやって入って来たんだ?
「あれ?一人には防がれたけど、もう一人は直撃したよな?なんで二人ともピンピンしてるんだ?」
襲撃者は俺たちを見るなりそう言った。
こいつは誰だ?なんで俺達を狙う?それにこいつの服装はまるで戦争に行くような感じで、ナイフと銃を持っている。でも、銃を構えようとしていないところを見る限り、近くはナイフ、遠くは【創氷】だろう。【創氷】での攻撃は使い手によっては、銃より速く、威力も高く、リロードもない。だから、銃はもしものとき用だろうか?それにこいつのさっきからの攻撃や雰囲気を見た感じ、もういかにもヤバそうだ。
「おいおい無視かよ!まあ~いいか。さっさと仕事を終わらせよう。」
「仕事ってなんだ?」
「おっ、やっと反応したか?答える義理はないが、教えてやるよ。俺たちの仕事は、お前の捕獲だ。」
俺を指さしながら答える。
分からないことだらけで、頭がパンクしそうだ。
「どういうことだ?なんで零を狙う?」
創が憤りながら、襲撃者に聞く。
「それは答えられない。仕方ないと思って
捕まれ。無駄な抵抗はするな」
「理解も出来ないのに、はいそうですかってなるわけないだろ?」
このまま捕まるの良くない気がする。だから、なんとかそう答える。
「なるほどな。その場合、どちらにも容赦しないぞ」
「零逃げろ!!ここは俺が食い止める!」
「いや俺も戦う」
「何言ってんだ?あいつはお前を狙ってるんだぞ?」
「だからこそだ。俺が逃げたら、それを追って他の人に被害が及ぶかもしれない。それに、あいつはやばい。多分俺達よりも強い。でも、聞いた限りだと俺を殺す気はないみたいだ。だから、俺も一緒に戦った方が創も安全で、勝てる可能性がある。」
「盾になるって言うのか?」
「そうだ!」
「わかった。確かに有効だ。でも危なくなったら、すぐに逃げろよ!」
「ああ!」
「作戦会議は終わったか?」
俺達が一斉に構えると同時に、あいつの周りに【氷塊】があり得ないくらいに出現した。俺はあいつに向かって走り出した。これで簡単に
【氷塊】を創に向かって放てない。
――しかし【氷塊】は勢いよく放たれた
「えっ!?」
なんで?ひとつも躊躇してない。やばい避けられない。
【氷塊】があたる直前、またも創がつくった【氷壁】が阻む。
「おい!あいつ全く躊躇ってないぞ!」
「どうやら作戦会議は無意味だったな。そいつは『C,No.0』。手加減する必要はないんだよ。」
「『C,No.0』?」
なんだよ。さっきから訳が分からない。自分はいったい何なんだ、、、
「零!何してる。この状況はやばい。逃げろ!」
「でも、、、」
「早く逃げろ!」
「ああ、、、わかった!」
何も出来ない自分が悔しい。でも今は足手まといになる前に、この場から離れる。
「させる訳がないだろう」
後ろから【氷塊】が迫ってきている。そのすべてを創が食い止めてくれている。しかし、砕けた破片が創に刺さり、出血箇所が増えている。
痛みとあいつの一方的な攻撃によって【氷壁】が崩れかけている。そして、ひとつの【氷塊】が壁を突破した。
逃げることに耐えきれず、立ち止まり後ろを振り向く。
創に【氷塊】が直撃した。
「創!」
慌てて、創のところへ戻ろうとする。
「バカ!戻ってくるな!」
二発目の【氷塊】が創にあたる。その衝撃で、俺のところまで吹き飛ばされてきた。
「創!」
「――逃げろ」
血だらけ、意識朦朧としている中で、まだ【氷壁】を維持しようとしている。
「あはは すごいな!そんな死にかけの状態で【創氷】を制御するなんてな。いや、逆に死にかけだからか?」
「零に、、、手出しはさせない!」
その瞬間、創は襲撃者に向けて、学校の壁を突き破るくらい、巨大な【氷山】を生み出した。
あり得ないくらいの衝撃によって、襲撃者はもちろん、創と俺も吹き飛ばされ、そこで意識が途絶えた。
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