【創氷】

『ねぇ、、、』


『ねぇ いつまで逃げ続けるの?』


『ねぇ』


「ねぇってば!」


「ハッ!」


 あれ?俺 今 何考えてた?


「やっと反応した。もう心ここに在らずって感じだったわよ。大丈夫?」


「ああ 大丈夫だ」


「もうー いくら【創氷】の授業が嫌だからって!」


「いやそういうわけじゃないだけど

 気がついたら」


「ふーん まあ大丈夫ならいいんだけど」


 香織は意味がわからないといった様子だったが、予鈴がなったので、自分の席に戻っていった。


 今のはなんだったんだ?


 どれだけ考えても心当たりはないし、、、

 自分の中に大きなしこりが残ったような気がした。


 *******


 俺はSTが終わった後、1時間目の授業の場所であるグラウンドに向かった。


「今から【創氷】の授業を始める。いつも言っているがこの授業は、これから社会に出るにあたって重要なことだ。しっかり授業に集中しろ。わかったな?」


「「はい!」」


「よし!まず各自で【創氷】の制御練習を行え!始め!」


「ああ そうだ。◼️◼️は、見学していろ。」


 なぜか名前のところだけは聞こえないが、【創氷】をすることが出来ないのは、この学校で俺だけだ。


「わかりました。」


 そう返事をして、段差になっているコンクリートのところに向かい、腰を下ろした。

 周りからは俺を見下すような視線、笑い声が聞こえる。本当に居心地が悪い。


「おい!早く始めろ!」


 先生の声によって、生徒が一斉に動きだす。

 そして、みんな一様に【創氷】を行う。

 これを見るといつも思う。なぜ、俺は出来ないのか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る