名がないはず≪イレギュラー≫の少年達 (3)

「おーい!おーいってば!」


「なに?」


「やっと反応した。零 ほんとに大丈夫か?ぼーっとして。あっそれはいつもか」


「おい!俺はいつもぼーっとしてるんじゃない。考えごと、というかなんというか」


「一緒だろ」


「いや意地でも肯定はしない」


「ハイハイ。まあ案外大丈夫そうだし良かったよ。」


「だからさっきからそういってるだろ。」


「そうだけど、お前すぐ抱え込みそうだしなー」


「付き合いまだまだ短いほうだしよくわかるね」


「まあ親友だしな!」


「そうですか」


「じゃあ 俺はA組だから」

 そう言って創は自分のクラスへ走って行った。ちなみに俺はD組だ。成績とか関係ないけど、、、なんか差を感じざるを得ない。

 そう思いながら、クラスの扉をあける。


 ガラガラ


 扉を開けると、喧騒が静まりかえり視線が集まる。そして、すぐにまたざわつき出す。俺は、誰とも視線を合わせず静かに席についた。俺の席は左の一番端で、あまり目立たないことが唯一の救いだった。

 しかし、、、


「零 おはよ」


 こいつが毎朝懲りもせず話しかけてくる。こいつというのは名前は香織といい、なぜかよく俺に声をかけてくる奴だ。最近 転校してきたから、俺のことをよく知らないのかとも思ったが、そういうわけでもないみたいだ。だったらなんで話しかけてくるんだ?本当にいい迷惑だ。こいつが話しかけてくることで、またクラスの視線が集まるのを感じる。こいつは美人であり、人当たりも良く、転校して来たばかりなのにとても人気がある。だから、俺みたいな奴が話しかけられたいると、いつも注目を集めてしまう。そして、そこに向けられている視線もいいものではない。


「なんの用だ?」


「えっ 用はないけど、、、。逆に用がないと話しかけたらだめ?」


「だめだ。お前がいるといつも悪目立ちする。俺は目立ちなくないんだよ」


 本当になんで創といい、香織といい、人気がある奴が俺の周りに集まるんだ?


「えー別にいいじゃん 気にしなければ」


「お前はこっちの立場になったことがないから、そんなこと言えるんだよ」


「そうかもだけど、零もこっちの立場知らないから、そんなひどいこと言えるんじゃない?」


「はぁー?どういうことだよ?」


「その言葉通りだよ。この話は終わり。そういえば、今日は一時間目から、零の苦手な授業だね」


 うまく話をはぐらかされた気がするが、別にいいか。多分 そんなに大事なことでもないだろう。


「ああ また見学だろうな」


 苦手な授業というのは、【創氷】を使った授業だ。苦手なのは当たり前。俺はそれが出来ないから。だから、生徒だけでなく先生からのあたりも強い。さらに、この授業は全クラス合同で俺の周りには、優秀な創とこいつがいるから、尚更だ。俺が朝から憂鬱になるのは当然だった。

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