縁を切るのも悪くない

「こんな時間にすまん。」と、メールが来た。彼はその五分後くらいに来た。「うぇーい」と明るく声をかけてくる。突然だが彼は虐待を受けている。日常的な暴力、暴言で体にはアザ、心にもキズを負っている。そんな彼の親友の僕にはよく相談がくる。さて、今日はどんな相談かな?彼は急に真面目な顔で「もう俺辛くて…イヤになってきたんだ。」と言う。僕は少し考えたのち、「縁切れば?」と言った。彼が一瞬固まる。そして「ええ?!そんなことできないよ!」と焦って言う。まぁそりゃそうだろう。でも僕が「なんで?」と聞き返すと、彼は黙り込んでしまった。僕は続けて「そんな君をロクに育てない親にずっと振り回され続けるのか?」と聞いた。すると彼はスッと立ち上がり、「ありがとう。」と言う。「行く当てあるの?」と問うと、「ある。」と目を輝かせて、彼は言った。

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