第63話 結納

みんな思い出して?

俺って魔王だよね?

魔王って魔族の王と書いて魔王だよね?



そうだよね〜〜♪♪



でもね?今俺の前には〜




魔王より怖くて恐ろしい存在が4人いるんだよね〜





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





遡ること10分………



無事に全員の意識が戻り、この女性が何者なのか問いただされた。すると……



「私はアイと申します。ゼノン様に添い遂げるため生まれてきました。」



核弾頭が発射された。



そこからはもう先ほど述べた通りだ。3人の後ろには般若や夜叉が見える。俺は先ほどから謎の冷や汗が止まらない。



しかしまだ大丈夫だ…!俺は別に怒られるようなことはしていない。決して怒られることなど……



「ゼノン様がアイのおっぱい触ってたっすよ。それで全てを捧げようと思ったらしいっす」




ネアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!?



「…………へぇ」



うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?

怖いよぉぉぉぉぉぉぉぉ3人が鬼に見えるぅぅぅぅ!



しかも何しれっと嘘の情報で脚色してんだよ!?

全て捧げるなんて言ってなかったろ!?

これ以上鬼を刺激するな!!



「これは……どういうことですかねゼノン様?」



やばい!これは完全に悪いのが俺と決まってしまっている……!


こうなればアレを発動するしかない……!

由緒ある伝統的なジャパニーズ謝罪方法!





その名も……DO☆GE☆ZA






俺は流れるようにその場で土下座した。

今もし仮に勇者が攻めてきたとしたら、俺が魔王だなんて思いもしないだろう。だが怖いものは怖い。俺は目の前の3人が怖くて仕方がない。故に土下座は必然だ。魔王だからといって妥協はしない!



「何をされているのですか?」



しかし土下座は通用しなかった。



「少し……全員でお話が必要なようですね?」


「ごっ……ご慈悲を……!」



しかし俺の願い届かず全員で四肢を拘束される。



「というわけで……アイでしたか?少しここでお待ちいただけますか?少しお・話・をしてきますので」


「了解しました」



了解しちゃったよ!?俺の言う事聞いてくれるんじゃなかったの!?素直にパンドラの言うこと聞いちゃったよ!?


そして弁明させてくれ!!アレは事故だったと!!



「確信犯は皆そう言うんですよ」



確信犯じゃないから本当に事故だから!?



「というわけで……お部屋に行きましょうか、ゼノン様?」



嫌だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?



俺の願い虚しく連行され、強制送還された。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




「さて……どうしましょうか?」


現在俺はフィリアの植物によって拘束され、ベッドに座らされています。魔王としての威厳は0です。

これから何が始まるのでしょう?俺は先ほどから謎の震えが止まりません。



「アイは……添い遂げると言っていましたね…」



プレッシャーがさらに増えた。弁明しても聞いてもらえない。まるで現代風刺だね。



「そういうわけで………」



ごくりと俺の喉が鳴る。俺は今から何をされるのだろうか?まさか殺されはしないよね?えっ、誰かそうだと言ってくれ!!










「私がになれば解決すると思うのですよ!」




胸を張って高らかに宣言した。
































………えっ?



第一夫人ってなんだっけ?役職?役職だったか?


確か正室とか正妻って意味だったよな?

正室ってアレ?結婚した第1の妻とかいうアレ?


パンドラ俺の奥さんになってくれんの?Really?


へ〜そっか〜、奥さんか〜〜。



























「…………………………………ファッ!?」



我ながら情けない第一声だと思う。

しかし誰しも第一夫人だと言われたら動揺するだろう。しかもパンドラ美人だし。



「テメェ!!何抜け駆けしてんだよ!!第一夫人は アタシだろーが!!」


「ずるい〜〜……第一夫人は〜〜私〜〜」


「抜け駆けは無しっすよ!第一は私っす!!」



俺は………あまりのプレッシャーに気絶した夢でも見てるのか?でなければこんな第一夫人抗争が起きる筈がない……きっとそうだ!そうに決まってる!


きっと夢だ!俺を取り合うという都合のいい夢だ!

だからここで舌を噛んだら夢から覚めるわけで……



痛ぇ!!これ現実だ!!



てことはマジで俺を取り合ってるってこと?

そんな少女漫画みたいな展開ある!?



「じゃあ〜〜、みんな第一夫人でいいと思うの〜〜」



おい、何がどうなってそんな結論になったんだ。

しかもなんだその「それだ!!」的な顔は!



「というわけで全員が第一夫人となりました」


「いや、それでいいのか!?」



本人の意思関係なく第一夫人って決まるものなのか?俺さっきまで蚊帳の外だぜ?しかし優位を持たれているかと思ったらそうでもない。第一夫人だなんだ言っているが顔の赤みは隠せない。ということは全員が俺のことを本当に慕ってくれているわけで……


うわっ、嬉しい!!マジで!?夢じゃない!?

童貞大学生が異世界行くだけで4人の美女から迫られるの!?異世界最高だな!!いや、アイも含むから5人か……一気に5人!?言葉も出ねぇよ!!


…いかん、興奮しすぎた。

現在俺の目の前にはドキドキしながら答えを待ってくれているみんながいる。しかしすでに俺の答えは決まっているのだよ。出会った時から思っていた。みんなそれぞれが個性を持っており俺を慕ってくれている。



なら導き出される答えは1つだろう。



俺はこの子達を幸せにしたい。だからこそ俺はいつも100%以上の力を出せる。この子達が傷つくのは嫌だ。だからこそ前魔王に腹が立つ。しかしこの子達を幸せに出来るだろうか……否、出来るに決まっている。


なぜなら俺は歴代最強魔王だからな。



「フィリア、この植物を解いてくれ。真剣に話がしたい。」


すると俺の熱意が伝わったのか解放してくれた。その顔はどこか緊張している。



「パンドラ」


「…っ、はい!」


「フィリア」


「はい〜〜」


「ネア」


「はいっす!!」


「バルカン」


「おう」



全員が俺の次の言葉を待っている。次の一言で天国にも地獄にもなるのだからな。だが大丈夫、そんなに焦らなくていい。なぜなら………



「お前達の気持ち、しっかり耳に刻んだ。それを踏まえて言わせてもらう。俺もお前達が好きだ。出会って間もないかもしれないが、もうお前達抜きの生活は考えられない。不甲斐ない魔王かもしれないがこれからもよろしく頼む。だから…お前達全員が第一夫人だな!!」



プロポーズなんてしたことないからロマンチックな言い回しなんてできない。現に今も口から心臓が飛び出そうなほど脈打っている。大丈夫かな?引かれなかったかな?


だが俺の心配も杞憂に終わる。



「ゼノン様〜〜〜〜!!」


「うおっ!?」



全員一斉に抱きついてきた。

うわ、ヤベェ!!めっちゃいい匂いする!



「断られたらどうしようかと……でも、今は今まで生きてきた中で一番嬉しいです……!」


「ゼノン様、大好きっす!!」


「さすがゼノン様〜〜、懐が広いね〜〜」


「ま…まぁ、お前は強くてかっこいいからな……」



全員がそれぞれの方法で好意を伝えてくれる。そして全員が泣いている。この反応を見るにかなり待たせてしまったのかな?それなら悪いことをしてたな……

俺はそんな経験一度も無かったから女子の気持ちなんてわからないんだよな。我ながら童貞感溢れた言い訳だよ。


だからこそ今までの分もこの子達を幸せにしていかないとな。魔王 兼 夫としてこれからもずっと支えていかなければ。


「今まで気づいてやらなくてごめんな?これからは大丈夫だ。今までの分もお前達を幸せにすると約束するよ」


「「「「はい!」」」」



今の俺は世界一幸せだと思うよ。何せこんな美人で愛らしい妻が一気に4人も出来たんだからな。アイも含めたら5人か。アレは妻と呼んでいいのかな?


「ところで……ゼノン様」


「ん?」


「妻となったので言っておかなければいけないのですが…………しないでくださいね?」



途端に体感気温が10℃ほど下がった気がした。

全員目が笑っていない。


「どうなんですか?」


「絶対浮気しないです!!」


「よろしい」



俺は判断を先走りすぎたか?婚約して30秒ほどでもう尻に敷かれる未来が確定したよ。俺浮気したらどうなるんだ?多分だけど最も長く苦しむ方法で殺されるんじゃないかと思う。


「結婚は墓場だ」と昔叔父が言っていたが、今身をもって知った。逆らえば殺されると……!


でも俺は浮気しないから大丈夫だろう。

でも前見た夢では後2人ほど女の人がいたような……




……大丈夫か?……大丈夫だよね?



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る