第59話 野菜を収穫しよう!
あの後3人で風呂に入ったよ。
あんな強引に風呂場まで引きずって行ったのに、いざ風呂に入るとなると全員顔を真っ赤にして照れていたよ。にもかかわらず背中を流してくれたりした。
俺はタオルが手放せなかったがな。
途中からバルカンが乱入してきた。真っ赤な顔して。
そしてパンドラと口喧嘩していた。仲いいよね。
一応全員タオルで隠していたが時々隠せてないんだよ。俺は紳士だから見て見ぬ振りをしたがね。
忘れないように脳内に鍵付き保存しようと思う。
風呂から上がった後、仲間が増えた後の恒例行事の部屋割りが始まった。
まぁ、バルカンが自分の荷物持って俺の部屋に突撃してきただけだが……
だんだんと俺の部屋が俺の部屋じゃ無くなってきたな。あんまり使わないからいいんだが。
寝る位置はじゃんけんで決める。
そして勝者はフィリアとネア。
パンドラとバルカンはごねにごねたが何とか大人しくさして いざ就寝。今日一日の忙しさを胸に刻みながら俺は夢の世界に落ちた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
次の日の朝………
何故か俺の上でネアが寝ている。
やましいことではない。ただ寝ているだけだ。
どんな寝相をしたら俺の上にスタンバれるのかはわからないが、とりあえず横に寝かせて大きな伸びをしてから起き上がった。
なんか久しぶりにゆっくり寝た気がする。
今までが、特に昨日が忙しすぎたからなぁ。
しかし、全員気持ちよさそうに寝てるな。
起こすのも忍びないから俺だけが起きてそっと部屋から退出する。
しかし一人で魔王城の中を歩くのは初めてだな。
いつもは誰かしらが隣にいて、説明を受けていたからなぁ。そう思うと感慨深いね。
そうして俺は一人でテクテクと目的の場所まで歩いていく。
今俺が向かっている場所というのは畑だ。
俺がこの世界に来てからもうじき2週間になる。
そして畑は1週間ほど前にフィリアと一緒によく分からん野菜を植えていて、実ができるのがちょうど今ぐらいの時期らしい。
家庭菜園は割と好きな方なので毎日水をやっていた。だからこそ俺は野菜の成長に驚いている。日に日に大きくなっていき、ついに今日収穫することができる。
どんなに疲れてようが毎日足を運んだ甲斐があったもんだ。ちなみに鑑定はしていない。収穫すると同時にどんな野菜かを知ると決めていたからな。
そんなことを考えているとお目当ての畑に到着した。
そこで俺は目が飛び出たんじゃないかと思うほど驚愕した。………一応確認しとこ。俺の目ちゃんとあるよな?
まぁ野菜畑はわかるよ?俺も毎日見てたから葉っぱめっちゃ増えたな〜とか毎日思ってたからね。
じゃあ何に驚いているのかって?
お菓子の方だよ!!
そこには秋景の森で見た景色となんら変わらないようなお菓子達が並んでいた。
嘘だろ!?たった1日でこんなに成長するの!?
一昨日見たときなんか「あ〜、少しずつ増えてきたな」って感じで、昨日は忙しくて見れなかった。
そして今日見たらお菓子がワサワサして、お菓子の木も立派に育っていた。
いや、何があった!?
確かにネアも無くなればすぐに出来ると言っていたがここまで早いとはな……
ここが異世界だからと自分に言い聞かせるしかないか。いや、異世界でもこれは早すぎだと思う。
さて、びっくりしすぎて話が逸れてしまったが目的である野菜の収穫を始めていくか。
畑を囲むように発動したフィリアの『ガードプラント』の横を通り抜け、俺は畑の中に足を踏み入れる。
畑には日本でも見たことがあるような、カラフルな色をした野菜や果物?がたくさん実っている。
あっ、ビリビリレモンもある………
種類は……レモンとアポの実が多いな。あっ、見たことないものが生っている。
木みたいにまだ成長中なものもあるな。これから楽しみだ。収穫できるものだけ収穫していこう。
[パールベリー]
宝石のように輝いており、皮が固ければ固いほど実が甘くなる。高値で取引されることも。
低木にブルーベリーのような実がたくさん生っている。ものによって光ってるものやそうでないものもあるな。1つ食べてみるか。………
固……いと思ったが、岩を食べて一度歯が折れた俺にはこんなもの屁でもないね!解説の通りとても甘くて美味しい。
そして最近気づいたことなんだが、俺は簡単に取れるような食べ物などではレベルやステータスが上がらなくなってきた。現に今も上がらなかったし。
多分だけど進化したことによって必要な経験値量も増えたんだろうし、そんな簡単にポンポン上がったら世界のバランスが崩れてしまうしな。
まぁ文句は言ってられない。上がらなくなった訳ではないし、今でもかなり強いからな。
話が変わってしまったから元に戻そう。
あとは未成熟のものも多いので地面に埋まっている野菜を収穫しよう。
[ど根性大根]
気合いとやる気に満ち溢れた大根。どこでも育つ。
………これ日本でも一時期ニュースになってたよな。
えっ、これ異世界産なの?そりゃコンクリ突き破るわ。ていうか、なんで日本に生えてたんだよ。
いろいろツッコミたいがみんなが起きてきそうなので次いこう。ていうかそんな疑問が消えるぐらい次の食材に目が釘付けだ。
次はこのスイカに似ている食べ物。俺スイカ大好きなんだよな〜。内緒にしてたが、これを見つけた瞬間血圧が200超えたと思うもん。一瞬で沸騰したよ。
さて、なんて名前なのかな〜〜……
[スイカ]
スイカ。それ以上でも以下でもない。
「…………スイカかい!!」
思わず声が出てしまった。えっ?それだけ?
何このそれ以上でも以下でもって。スイカバカにしてんの?鑑定よ、スイカを馬鹿にしているのかい?
っていうか虚をつかれたな。異世界だから名前と中身がちがうと思ってたら、ここに来て初めて日本と同じ種類と中身だよ。俺は大好きだから嬉しいけどな!!
俺はホクホク顔でスイカを収穫。あとでこっそり食べよ。
さて、次はこのやけに葉が成長している野菜だな。
俺の胸ぐらいまで伸びてるってことは実は一体どれぐらい大きいんだろうな。
俺は根元を持ち、力一杯引き上げる。
そして地面から出てきたのはジャガイモだった。
だが思い出して欲しい。ここは異世界。
もちろん普通のジャガイモではなかった。
「どんどん引き抜けるんだけど……」
そう、終わりが見えない。ポコポコ地面からジャガイモが出てくる。湧き出てるのかと思うほど引っ張っても引っ張ってジャガイモが連なっている。
全部収穫できた時には俺のそばにジャガイモの山が出来ていた。
[子連れ芋]
複数同時に実が実るジャガイモ。一度に最低100個は収穫することができる。お得だね。
いや…うん。一度に100個収穫できてもな……
しかもこれ100個より多くない?300個はあるように見えるんだけど。当たりかな?
しばらくその場で収穫しすぎたジャガイモをどうするか考える羽目になったゼノンだった。
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