第25話 名前論争
これから仲間になるわけだが、ずっとオロチガメって呼ぶわけにもいかないから名前をつけることにした。
さて、どうするか……
参考程度に2人にも聞いてみるか。
「こいつの名前を決めようと思うんだが、何か意見はあるか?」
「そうですね…この子の名前…『ポチ』なんてどうです……」
「グルァァァァァァァァァァ!!」
パンドラが犬につけるような模範的な名前を提案してきた。
しかしそれはオロチガメによって食い気味に否定された。よっぽど嫌なようだな。
自分のネーミングセンスを全否定されたことでパンドラは膝をついて落ち込んでいる。
まぁ…俺も『ポチ』はないだろと思ったが…
そう思っていると次はフィリアが口を開いた。
「じゃあ〜〜、『ペス』は……」
「グルァァァァァァァァァァァァァァ!!」
さっきよりの『ポチ』よりも全力で四つ首全てを振り
否定している。
「ええ〜〜〜〜、いいと思ったのに〜〜……」
魔界のネーミングセンスってみんな悪いのか?
お前ら亀じゃなくて犬を飼いたかったのか?
そう不安になるぐらい模範的な名前ばかりでてくる。
さて、先の意見は参考にならないとして…どんな名前がいいだろうか?
かという俺もいい名前思いつかないんだよな。
『ギドラ』とか『ガメラ』はダメだよな……
っていうかこいつ性別どっちなんだ?
「お前ってオスなのか?」
「グル!」
あ、首を縦に振った。ってことはオスか。
なんでそんなこともわかんねーんだ、っていう感じの目で俺を見てくる。いや普通亀?の性別なんか分からないだろ。
ほんと言葉が通じるって便利だよね。
こいつ成長したらたしかヤマタノオロチガメになるんだよな?じゃあ、進化しても共通で使える名前がいいか。
「よし、お前の名前は『亀吉』で………」
「ガアァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」
今日一番の拒絶をされた。
何でだよ……かっこいいだろ……
まぁ冗談なんだが……
「冗談だよ。お前の名前は『オロチ』でどうだ?」
「グルァァァ♪♪♪♪」
すごい喜んでくれた。
我ながら安直な名前だと思うが、無難な名前の方が覚えやすいし呼びやすくていいだろ。
それに『オロチ』って響きがカッコイイし!
「じゃあ今日からお前は『オロチ』だ!」
「グル!」
「それはいい名前ですね!よろしくお願いします。」
「よろしく〜〜、オロチ〜〜〜〜。」
あ、2人とも回復してた。
まあ無事に名前が決まってよかった。
さて、いろいろ一悶着あって忘れかけていたが、俺達釣りをしてたんだっけ。
まだ魚1匹とペット1体しか釣れてないんだよな。
もう少しどんな魚がいるか見てみたいから釣りを再開するか。
俺達はもう少し釣りをすることにした。
オロチは何してるかって? その辺で泳いでるよ。
それのおかげかビビって逃げてきた魚が俺達の方に大量にやってくる。そして見事に食いついてくれる。
追い込み漁の釣り版って感じだ。
パンドラとフィリアも楽しんでくれているみたいだ。
今日の成果がこちら
ロケットイワシ×72
バレットシーホース×5
根性ヒトデ×2
寒パチかんぱち×2
ウシマグロ×1
イワシは群れで行動するというが、一度かかると怒涛の勢いでかかり始めた。
そして初めて見る魚も4種類かかった。
[バレットシーホース]
口から水を圧縮した弾丸を打ち出してくる。カラッと揚げると美味しい。
大きさ20センチほどのタツノオトシゴ見たいだ。
形が形なので本当に食べれるか怖い。
[根性ヒトデ]
根性で歩けるように進化したヒトデ。腕の中に卵を持っているが、生では食べることが出来ない。珍味として有名。
こちらは30センチほどのヒトデに顔見たいな模様がついてる感じ。ヒトデが立って歩く姿ってなかなかグロいな……
[寒パチ]
比較的寒い地域に生息している。体内の塩分濃度が高い時、塩分を凍らして体外に放出する。放出された塩も調味料になる。
こっちは地球のカンパチとなんら変わりは無いな。
刺身にしたら美味そうだ。それよりも塩を凍らせて出してくれないかな?
[ウシマグロ]
あらゆるものに突撃しながら泳ぎ続けるマグロ。頭のツノは岩をも砕き、尾は叩きつけたものを失神させる力を持っている。大きい個体ほど身は引き締まっていて美味しい。止まると死ぬ。
これは釣り上げた時さすがに驚いた。
マグロの一本釣りとか初めての経験だよ。
何よりも頭の側面から生えた鋭利なツノ、俺よりも縦にも横にも大きく、丸太のような尻尾を持っていた。
釣り上げた瞬間血を吐いて死んだけどな。
とりあえずすぐに血抜きをしないと味が落ちてしまう。
まだまだ釣れそうな気がするが今日はこの辺りで止めておこう。最後にマグロ釣れた時点で万々歳だ。
「たくさん釣れましたね。」
「ね〜〜〜〜。」
魚を眺めながら2人とも嬉しそうに話している。
パンドラに至ってはさっきから垂れてくるヨダレを拭いてるんだよな。絶対見え方がフィリアと違うと思う。
魚をカバンに収納してオロチと触れ合ってから帰ろうかと思ったが、肝心のオロチがいなかった。
水の中にオロチ専用の家でもあるのか?
気づいたらいなくなってたな。まぁ、元は野生の魔物だったからな……
と思っていたら突如大きな水柱が上がった。
何事かと思ってみてみると、オロチが4つの首を器用に使って魔物をくわえながらこっちに飛び出してきた。
地面に着地し くわえていた魚を俺の前に置いてくれたが、これまた7〜8メートルはあるんじゃないかと思うぐらいデカイ。
オロチって俺より力強いんじゃないかと 飼い主としての自信を無くしそうになりながら鑑定してみると…
[サトウクジラ]
温厚で比較的安全なクジラ。食事で得た余分な水分を体内で砂糖に変換し、週に一回体外に放出する。身はコリコリしており、好き嫌いは分かれる。
それは全身綺麗な白色のクジラだった。そして陸に打ち上げられた衝撃で、クジラは生産された砂糖を体外に放出した。
突然の出来事に俺は固まった。
えっ、今!!??
週一回の砂糖放出チャンスが まさかの今!?
俺は急いでボーッとしてるパンドラに指示を出した。
「パンドラァァァァ! カバンでこの砂糖を急いで回収してくれぇぇぇ!!」
「えっ! あ、はい! この降ってくる白いのをですか?」
「これがあればもっと美味しい料理を作れるぞ!!」
「何でもっと早く言ってくれないんですかぁぁぁ!!頑張りまぁぁぁぁぁす!!」
パンドラが残像が残るぐらい早く動いて砂糖を回収してくれている。改めて料理の力はすごいなと思うよ。
「フィリアも植物で受け止めることが出来るか?」
「できるよ〜〜〜〜。え〜〜〜〜い!」
すると足元から蓮の葉のような植物が生えてきて落ちてきた砂糖を広範囲で確保してくれた。
本当に便利な能力だな。俺も植物操作系のスキルが早く欲しいもんだ。
さて、俺もディメンションで確保していこう。
こうして俺達は大量の砂糖とクジラ1匹を確保することができた。
何とも嬉しいプレゼントをしてくれるものだ。
俺達はオロチに一言お礼を言い、近いうちにまた訪れることを約束してから釣り堀を後にした。
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