第5話 呪いの食材

さっきから食材のことばかり考えて四魔天探すことが目標になってたけど、本当は向かってくる勇者を殺せとかあるのかな?


だいたいのなろう系小説って勇者が魔王殺しに来てたよな……そして前魔王も亡くなったと……


ってことは、次俺じゃん!!

俺を殺しに勇者攻めてくるじゃん!!



まじかよ!俺まだレベル1だぞ!どうしろってんだよ!


落ち着け俺………まずはパンドラに事実確認だ……

魔王がビビってると思われるの嫌だから、顔に出ないように落ち着いて慎重に……




「なぁ、パンドラ。この世界には勇者はいるのか?」




よし言えた!!何も不自然な点はなかったはずだ!

あとは返答次第だが……




「いますよ。」




やっぱりいたよ!!

だよな………やっぱり1物語1勇者だよな……

はぁ……とりあえず勇者に負けないぐらい強くなるしか……




「ですが今はもう平和ですよ。」







…………………はっ?…今なんて?






「1000年ほど前までは勇者が攻めてきていたらしいのですが、現在は魔王国との和平が成立していますので攻めてくることはありません。逆に勇者は国が立派と証明するための飾りですよ。」





…………………えっ?




勇者攻めてこないの?まぁ、こんな過酷な地形の中攻めようなんて俺も思わないけど…



俺としては嬉しい誤算だが、同時になぜ前魔王が亡くなったのかが気になるな。

てっきり勇者に殺されたとばかり思っていたが…


うーん…こればっかりはデリケートな問題だから聞いても良いものか……


でも原因を聞いて対策を立てておかないとなぁ…

謀反とかだったら怖いし……



よし…、聞いてみるか。

今は対策を立て、1秒でも長く生きることに意味がある。



「パンドラ、先に謝っておく。すまん… 勇者が攻めてこないのであれば前魔王はどうして亡くなったんだ?寿命が尽きたわけでもなさそうだし……」


「ゼノン様は優しいのですね…ありがとうこざいます。しかし、私は前魔王様とあまり交流が無かったもので気を使っていただかなくても大丈夫です。前魔王様はかなりの自由人でしたので臣下も連れず一人で外に出てることが多かったので…」




なかなか自由奔放な魔王だな…

ってことは、外に一人でいるときに狙われたとか?





「それは………見てもらった方が早いと思います………前魔王様は ある食材を食べて亡くなられましたから……」




ある食材か………って食材⁉︎

今、食材って言ったか!?

魔王って最強の存在じゃないの!?そんな簡単に死んでいいのか!!



っていうか、そんなものがその辺に普通にあるっていうのがビックリだわ…



前言撤回。食材探しする前にまず情報収集だな。

俺も前魔王の二の舞いにはなりたくないからな…



あっ…でも俺【鑑定】持ってたわ。大丈夫だな。





そんな感じで一喜一憂してるうちにパンドラがその食材とやらを持ってきてくれたよ。




「こちらがその食材になります。」



と、持ってきてくれた食材はキノコだった。




キノコ?まぁ、地球でもキノコ食べて亡くなったって人はたくさんいたからなぁ。

じゃあ、魔王を殺すくらいの毒性を持ったキノコってことか?間違って取らない様に形を覚えておかなきゃな。


ついでに【鑑定】しとくか。情報はたくさんあった方がいいからな。どれどれ……




[童貞ダケ]

童貞のまま死んでいったものの怨念を糧に成長するキノコ。童貞が食べると怨念に道連れにされる。女性には効果がない。










………………………はっ?








「どうしました?そんなに目を見開かれて……

まさか!このキノコがどんな効果を持つかわかったのですか!?」







……………えっ…ちょっと待って…?




情報が濃すぎて脳がフリーズしたよ今……




つまり魔王は童貞で、これを食ったことによって死んだと……











……まっっっっっっっっっっっっじで!!!!



これはヤバイだろ!!!隣でパンドラが教えてください感を出しながらこっち見てるけど、これ絶対正直に答えない方がいいだろ!!

崇拝していた人が童貞だから死にましたってか!!

俺なら笑いをこらえるので必死になるね!!


っていうかこのキノコ俺にも効くし!!

そうだよ!!童貞だよ!!

悪いかこのやろう!!………グスン……





「どうしたのですか!?教えてください!これはそんなにも危ないものなのですか!?」




どうする俺!!考えろ!!思考の海に潜れ!

この場のみんながハッピーになれる言い訳を考えろ!




……そうだ!!




「……あぁ、そうだ。このキノコは毒性が強くてな。特に強い奴が食べるとそれに合わせて毒性も上がる危険なキノコらしい。」



「そうだったのですか……どうりで、状態異常が効かないはずの魔王様に毒が……」


「あぁ…」


「わかりました…このキノコには近づかないよう改めて呼びかけようと思います。」




よし!!いい感じの言い訳ができたぞ!



よかったな、前魔王。お前の威厳保たれたぞ。





とりあえず今日見たものは記憶と一緒に墓場まで持っていこうと心に誓ったゼノンだった。





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