やたらとうるさい雷
その木と呼ぶにはあまりにも大きすぎるものには、ほんの少しのなつかしさがあった。しかしそれを知っているか知らないかと言われれば知らないのだ。
確かに自分と似た生物だとも思うが、あのかわいくないのと似ているかといわれると全くの別物だと言いたくなる。だって不細工じゃんアレ。
「知らね。」
「ごめん怖くて小便漏らしそう。」
不甲斐ないなこいつ。でも彼がどんな気持ちで、何故気圧されているのかはわかる。
あいつは、自分のことを畏怖するように見かけを操作しているのだ。ネ?不細工で、汚くて、愚かでしょ?それは美しくない。
「小便漏らすならそこらへんの草むら行ってよね。」
「そうさせてもらう。」
ほんとにするじゃん。栄養の素だなあいつ。
『おや?玉手箱の中身が出ているじゃないか』
声でっか。うるせぇ!思わず耳を塞いでしまうほどの声量だ。
「・・・・・」
『・・・・・・・・』
なんか言ってるけどよくわからん。
「うおっ雷だ!!近かったな!!」
「なんか言った?」
「雷落ちたなって。」
「?」
いつの間にかあの大きさの木が跡形もなく消失していた。
さっきまで確実にあそこに在ったのに。
「あのでっかい木はどこに行ったんだ?」
「目瞑ってたからわかんない。」
なんで目瞑ってんだよ。
「取り合えず消えた山の方行ってみるかヘンテコ生物!!」
「・・・ユグドラシルって呼んで?」
「長いからユグで。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます