枝は折れると血が出る。

外へ出ると、辺り一面仮面の海で染まっていた。歩く度、がしゃがしゃと音がする。

割れたり、粉々になったり、再生したり。

「なぁ木。お前俺をどうやってここに連れてきたんだ?」

俺の記憶では木に触れた次の風景がこの風景だ。

「え?普通に木同士で移動しただけだけど?あと木って呼ぶのやめて。」

「いろいろつっこむべき事あるんだろうけど何て呼べばいいんだよ。」

正直あいつの為に生きろと言われてもどこの馬の木かもわからん素性の知れない生き物には違いなく、それだけで不安を煽るものだ。

「ん~適当に決めてよ。君が。私に。名前を。」

「えぇー?期待されてもいい名前は付けられないぞ?第一男か女か雄か雌かはっきりしねぇとつけようがないし。」

「たぶん女じゃない?雌かもしんないけど」

理科年表を手にしていうセリフではない。アレ読んでるってことはそこが正面なのか?いや見えるだけで正面じゃないのかもしれない。

「生殖機能は一応備わってるよ?花咲いてないからできないけど。」

「雌だな。」

「雌だね。」

「じゃあ木にちなんで、・・・・・・・・・・・・・・」

「何も思いつかないんだね?」

図星である。木に名前なんて付けたこともなければついているのなんて見たこともない。

そんな中、近くの山が割れ、大きな大きな木が出てきた。

山より大きいんじゃなかろうか。

「アレ同族だったりする?」

「知らね。」

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