木奇乱爛
「人でもなくて木でもないなら一体お前何なんだよ。」
「なんだろうね☆」
こいつはいったい何なのだろう。母はどこへ行ってしまったのだろう。
母がいないという事実は酷く虚空を感じさせるものであり、目の前のこいつにすら助けを求めてしまう。
”僕はどうしたらいいんだろう”
昔に封じ込んだ考えが脳裏に蘇ってくる。
ブランコは揺れる。
「どうしても体が爛れたようになってしまって、何もしたくなくなるんだ。」
『やりたいことをやりたいようにやればいいんじゃない?』
「やりたいことなんてない。ただ死を待つだけ。」
『人に誇れることをしなさい。』
「嫌だ。見えない誰の為かもわからずに努力を続けられるほど強い心はない。」
『じゃあ誰にも文句を言われない形で死になさい。』
「無理だ。こんなに重い体を引き摺って生きていけっていうのか?」
「じゃあ私の為に生きてよ。」
彼女は枝をこちらに伸ばしてくる。
怖い。
「いいから。」
嫌だ。
「君が思ってるほど現実は酷くないよ」
・・・
「今があるならそれでいいって思ってるんでしょ。」
「それならお母さんのところに行ってあげなよ。」
・・・
・・・・・・
おばあちゃんの家に来た。
いつの間にか木々で生い茂ってしまっている。
家の裏に回ると、そこには母の旧姓である”園田”と掘られた墓が1つぽつんとあり、灰の堆積した何かがそこにはあった。
家の中まで根が張ってあるのはさすがに驚いた。
ふとヘンテコ生物の方に目をやる。
「私じゃないよ?これやったの」
「疑ってんじゃねぇよ」
あれこっち向いてるのかな?それとも向こう側みてるのかな?それともどこでも見えるのかな?
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