木ではないらしい

 スーパーの角で出会ってしまった木の人といろいろあって今公園に来ている。

「まずいい?木じゃないんだけど、木に見える?」

「え?喋って動ける木じゃないんですか。」

 正直当惑している。僕の目の前にいる生き物は木にしか見えない。だが本人は木じゃないつもりらしい。

「ん~他の人のことは普通に見えてるの?」

 普通かどうかと問われれば、普通には見えていないのだろう。僕は人の顔がうまく見れない。仮面をかぶっているように見えているのだ。

 一応親友や家族は仮面が付いているようには見えない。

 まぁこれはこれとして、目の前の奴はそんなレベルに収まってない。何もわからない。仮面でもない。木なのだ。

 表情はおろか、姿形すべてがヌルヌルと動く人型の木なのだ。

 少しの間が開いてしまった。

「たぶん普通に見えてるよ。」

「たぶんに関して気になるんだけど?」

「とにかく、もう帰っていいですか?たぶん僕がおかしいだけなので。」

「え、ちょっと気になるんだけど。」

「帰ります。」

のっそりと重い体をベンチから上げ、そのまま帰ろうとすると、ヘンテコ生物はちょっと大きめな声を出して

「また明日この時間にここに来ますからね?」

と言い放った。

正直今までの生活よりも数倍面白そうな変なのを見つけたので行くかもしれない

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