シーン10~19

シーン10

―― ケーキ屋(詩衣のバイト先)


可愛いフリルのエプロンをして、接客をしている詩衣。

ショートケーキを箱に入れ、リボンを付けて客に渡す。

微笑んで礼を言う詩衣。

詩衣「ありがとうございました」

客が店を出た後、エプロンポケットのスマホが震える。

店の隅でスマホを見る。



シーン11

―― スマホ画面。朱雀からのメール


『ちょっといい曲ができたよ。聞いてみて! 詩衣が作詞してみないか?』



シーン12

―― 詩衣、横顔 


ファイルを開き、送られて来た曲を聴く。

短いイントロで始まるバラード風の曲。

優しく暖かなイメージ。目を閉じて聞き入る。

返信をする詩衣。



シーン13

―― スマホ画面


『ホント、素敵ね。作詞かぁ。うん、頑張ってみようかな。でも絶対、笑わないって約束してくれる?』

送信ボタンを押した後、送られて来た曲を朱雀の着メロに設定する。



シーン14

―― ケーキ屋 店内


店の奥から、店主が現れる。

店主「詩衣ちゃん、今日ちょっと用事があって早く終わるから、それと、ケーキどれでも二つ持って帰っていいよ。朱雀くんと食べなよ」

詩衣「ホントですか? ありがとうございます。じゃお言葉に甘えて」

店主「じゃ、店閉めちゃっていいからね」

詩衣「はい、解りました」

迷う事無く、ケーキを選ぶ詩衣。

一つは朱雀に、もう一つは自分に。

小さな箱にケーキを入れる。

慌ててメールをする。



シーン15

―― スマホ画面


『ケーキ、貰っちゃった。今日は遅い? 二人で食べようよ』

送信ボタンを押す詩衣。



シーン16

BGM IN(朱雀の着メロ)

―― 大学内の研究室


朱雀のスマートフォンの着メロが鳴る。

詩衣専用に設定された、オリジナルの短い曲。

スマートフォンを開く朱雀。

BGM OUT

画面を見つめる朱雀。そして、返信をする。



シーン17

―― スマホ画面


『今、健吾たちと一緒。楽譜出して、CD焼いたら帰るよ。で、俺のイチゴ?』

送信ボタンを押す。



シーン18

―― パソコン


友人の木田 健吾(きだ けんご)が話し掛ける。

健吾「詩衣?」

朱雀「まあな」

健吾「ふーん」

朱雀「何だよ」

健吾「別に、早く印刷しろよ」

朱雀「あせるな」



シーン19

―― バンド仲間


プリンターから吐き出される楽譜。

プリンターに群がるバンド仲間。

みんなが手に楽譜を持っている。

健吾「全部で、何曲? 四? 五曲か。そっちどう?」

千春「おう、バッチリ」

健吾「なかなかやるじゃん、朱雀君」

朱雀「ま、夏休みだったしな。も一曲あるんだけど」

健吾「お、すげーじゃん。で、どんな曲?」

朱雀「まだ出来てない」

健吾「なんだかなー 早く作れよ」

朱雀「でもよ、いい曲だぜ。詩衣が作詞してくれっから、出来たら渡すよ」

健吾「へぇ~、詩衣がね。ところでさ、お前の実家でまた合宿できない?」

信朗「いいね、それ!」

朱雀「いつ?」

健吾「早い方がいいかな」

千春「メシを心配しなくて良くなるぅ~」



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る