第17話 病室での目覚め、マネージャーの置き手紙。
青白い月明かりが窓から差し込む病院の個室で、菜苳乃は目を覚ました。
「…んん……今何時だろぉ…。」
そうまだ起きたばかりで曖昧な意識の中、いつものように枕元にあるはずのスマホへと手を伸ばす。が、そこにはスマホはなくそれに気づいた菜苳乃はゆっくりと体を起こした。
すると、探していたスマホはベットサイドテーブルの上に置手紙の重し代わりとして置いてあった。
とりあえず、置手紙の方は置いておいて先に気になっていた時間をスマホを使って確認した。
スマホの待機画面には、上部分に大きく「22:35」と書かれており、その下には小さく「12月22日金曜日」と書かれていた。
「そんなに眠ってたんだ、私…。」っと、小さくつぶやくと、今度は置手紙の方に目がいった。
内容は
『急に道端で倒れるので驚きました。原因は疲労だろうとのことです。今日のところは病院で休んで、明日には外に出て観光でもしてください。せっかく福岡に来たんですから。PS.明日の夜にまでにはホテルに帰ってきてください。マネージャーより。』
とのことだった。
どうやら明日まで休みにしてくれたらしい。もともと福岡には、映画の撮影で主演として来ていたのだが、皆が無理をして時間を作ってくれたのだろう。
そのことに感謝して、素直に福岡の街を観光することにしたが。のどの渇きを感じた菜苳乃は自動販売機を探すことにした。
持ち歩いていたバッグがベットの左側にある床頭台の上に置いてあったので、掛け布団をめくって靴を履き始めた。
そして、先ほどまで見ていた夢で一おかしなことがあったのを思い出した。
今まで見ていた夢の内容が変わっていたのだ。
今で出たことのない知らない男の子が夢に現れ、更には自分が怪物になってその子に襲い掛かり、首をはねて殺してしまっていたのだ。
(今日会ったあの子に、何か関係あるのかな…。)
その男の子が夢の内容が変わった原因なのか、もしくは……自分の変化。
しかし、自分の変化に限ってはこれと言って心当たりはない。だとしたら、今日菜苳乃が倒れる直前に出会ったあの男の子。
いや、それにしては夢で現れたあの男の子は幼いように思える。
結局のところ、あの子にもう会うこともない時点で、あの子が原因か確かめるすべもないので、菜苳乃は考えるのはやめて、個室のドアへと手を伸ばした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます