第14話 白い光の正体は?
「…。」
春輝が目を覚ますと、窓から射していた夕日の赤い光から夜の青白い月明かりに代わっていた。仰向けの体制から起き上がって周りを見た春輝は、叔母のことを伝えに来てくれた秋火璃の姿はなく、腕に刺さっていた点滴はもう抜かれていた。
(トイレ…行くか。)
今日一日眠りすぎたせいか、少しの頭痛ともうろうとする意識の中、尿意からではなく今日は一切トイレに行っていなかったとふと思うと、春輝は掛け布団をめくる。
体を窓側に向けると、ベットの傍にスリッパを見つけた春輝はそのスリッパを履き立ち上がると、若干の立ち眩みとともに仕切りに使われているカーテンへと手を伸ばした。
あいにくトイレの場所はわからないが病室から出ればわかるだろうと軽い足取りでトイレに向かった。
「ふぅぅ~」
トイレの場所は思っていた通り部屋を出ればすぐに分かった。なぜなら、春輝のいる四人一部屋の病室からすぐ隣だったから。
というか、今日は一切トイレに行っていなかったっという安直な理由でトイレを済ませたが、そもそも自分がいつ水分を補給したかすら覚えていない自分にトイレではなく水分補給だったのではなかったのではないかと今更ながら気づいた春輝は一度自分のベットに戻ることにした。
仕切りのカーテンを開くと目の前の床頭台の下にあった小さな冷蔵庫に目が行った。早速中身を確認するために冷蔵庫の前にしゃがみ込むと、扉を開いて中身を確認した。
(…そんな、都合よくいかないか……。)
しかし、中身は何もなかったので、すぐに切り替え別の案を考えることにした。すると今度は、壁に掛けてあった制服に目が行った。
(お…。確か右ポケットにいくらか入ってなかったけか…。)
そう思うと春輝は祭服の傍まで移動し、制服の右ポケットに左手を突っ込んだ。
すると、薄くて丸い形をした何かが三枚ほど手に当たったかと思うと、【ジャリ】っという音を鳴らしながらそれをつかんでポケットから手を出した。
「…ビンゴ~……。」
ポケットから出した手を開くと手のひらの上には百円玉が三枚あった。春輝はそれを確認してから、もう一度病室から出た。
そして、先ほどトイレに行ったときに見えた白い光の方へとまっすぐ向かった。
「お…あたりー。」
春輝の予想通り、白い光の正体は自動販売機だった。また、春輝が今いる自動販売機のある場所は休息所となっていて、いすや机などが設置されており壁沿いにはソファが設置されていた。
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