第7話 夢は夢でも現実的。
何故なら、小学生の頃には無かったはずの「吸血鬼(ヴァンパイア)の牙」がある。もっと言えば、先ほどから気になっていた声もそうだ、小学生の頃の声というか声変わりする前の声にもし戻っていたのならすぐに気付くはずだ、なのに違和感があまり無かった。
結局何が言いたいのかと言うと、おそらくこれはあの人があの時あった春輝を無理矢理若返らせた様な姿になっていること。それと、通っている小学校が過去と違うこと。この二つの理由から、この答えが一番しっくり来るのだ。
それと、この答えには一つ疑問点がある。
「あと、もしかして僕ってこの世界に二人存在してます?」
その疑問は、実質現在の春輝がこの世界にいるのなら、数年前の自分もこの世界にいるのではないかと言う疑問である。
「そいうことになるわね。それと、この世界から脱出…言い換えれば、五次元から元の三次元に戻れると思う?」
あっさりと肯定されてしまった。
それどころか、また新たな問題を春輝に突きつける。
それに不満を抱きながらも、突きつけられた問題に顎に手を当て考える。
「…。」
「…春輝。さっき答え出してたじゃない。」
さっき、と言えば。
俺の見た目や声などについての時のことだろうか。なら答えは、これぐらいしか見つからない。
「僕が、あの人を助ける?」
半分の自信と半分の疑問を持ちつつ春輝はそう答える。
「そう、そう言うこと。だから、春輝は彼女の望む姿、望む形、助けなきゃいけないの。」
「……どうやって。」
答えははあっていたらしい、しかし舞夜は、細かく訂正してきた。その訂正に対して、先程の春輝の半分の疑問が口から漏れた。
「それを、春輝がやるんでしょ。わたしは、人には干渉できないから無理。まぁ、春輝もギリギリのなんだけどね。」
どうやら、ここでは春輝や櫁夢はこの五次元の中でも特に曖昧な存在らしい。ここでそのことを質問すると、また櫁夢に話の流れを持っていかれそうでならないので、そう理解しておく。
間違っても、後から自分の目で確かめたり、櫁夢に教えてもらえるだろうと、思い春輝は次の問題点へと話を進めた。
「とりあえずの間、僕は小学生として生活しないといけないんですか?」
「まあ、そうなるわね。実際、今すぐ助ければ問題ないんだけど…この世界を作った人が、助けを求めているタイミングがいつなのかもわからないし、そもそも今が、そのタイミングの前なのか、後なのかわからない。どうしたものかしら…。」
全くもってそうなのだ、先ほどまで赤の他人だった人間が、何に悩み苦しんでいるのか。それと、過去にどんなことがあったのかわからない…つまり、手の出しようがないのだ。
だから、随分とこの五次元にお世話になるのだろう。
「てゆうか、そもそも僕はちゃんと食事とか睡眠したりしなきゃいけないんですか?」
この五次元はあの人が見てる夢見たいなもの…と、櫁夢が最初に言っていたのを思い出した春輝は、人間としての生活を送る必要があるのか疑問を抱いた。
「当たり前じゃない。たとえ五次元が夢みたいなものと言っても、ちゃんとした世界だし。私たちだってこの世界に入り込んだ人間なんだから、お腹も減るし眠たくもなる。」
「……不便ですね。」
「春輝は、夢ってワードを引っ張りすぎ。」
「そうですかね?」
「絶対そう。」
と、また疑問が解決したところなのだが…
「え。じゃあ……どこに寝泊りするんです?僕この姿だし、お金なんて持ってませんよ?」
「あ。」
「え。」
また、新たな問題が春輝と櫁夢に生まれた。
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