第5話 小さくなった体と摩訶不思議な世界

「というか、君…本当に中学生?」

春輝が年齢などを明かした時、櫁夢から向けられた目線は怒っていた為の睨みではなく、疑っていた為の睨み、だったのである。

しかし、春輝は嘘などついてはいない。

なぜなら、ここで目がさめるまではちゃんと制服を着て、秋月中学校に登校して授業を受けていたのだから。

だが春輝は一つだけ、頭に浮かんだ事があった。

今、信じられない事に春輝は今自分の状況が驚くほど把握できていない。

最初に、時刻が大幅に違う。意識を失った時は、十二時前の昼時ぐらいだったのにもかかわらず、今は陽が落ちるどころか昇ってきている。

意識を失ったにしては時間が経ち過ぎている、それに意識を失ったのは秋月中学校からすぐ近くの公園前だったはずなのに、今は牧之原小学校の教室と場所までもが違う。

いた場所が変わっている。それがもし、世界が数年前に戻ったとしたのなら、それと同じ様に春輝も…。

それにしては、目線の高さが低くなったという違和感もなっかったし、もし、仮に、目線が低くなっていたとして、最初にこの教室を見回した時に・・・が見えなかったのはどう説明するというのか。

まあ、全ては自分の目で見れば分かる。

そう思い春輝は、下を向き自分の体に視線を向けた。

「マジか」

結果ら言えば、春輝は制服を着ていなかった、つまり私服だったのだ。それに、上靴もシューズの様なものではなく小学生がよく履いているゴム製のもの、つまり「上履き」を履いてた。

そう、つまりは春輝は五年前の自分。つまり、小学三年生の春輝に戻っていた。

しかし、数年前の自分というより、小学生だった頃の自分とは違うところがある。

名札が、数年前に春輝が通っていたはずの秋月小学校のものではなく、牧之原小学校の名札になっていた。

「なーんてね、君が中学二年生なのは知ってたよ。とゆうか、春輝は色々と違いに気づいたみたいだけどね。まずは、私の説明を聞きなさい。」

「はい。」

春輝は、自分が置かれている状況に驚きのせいで理解が追いつかないため、大人しく説明を聞くしかなかった。

「まず、次元の話なんでけど…一次元は点、二次元は線、三次元は立体、四次元は時間。五次元は感情なの。」

「ちょっと待ってください。一、二、三、四まではなんとなくわかるんですけど。五次元の感情って何なんですか。」

そういえば五次元とか言ってたなぁ。っと、薄っすら先ほどの会話内容を思い出してから、櫁夢の発言で疑問に思ったことを問いかける。

「もう、待ちなさい。ちゃんと、説明するから。五次元っていうのは、人が感情から作り出す幽界の事。五次元を作り出す人には特徴があって、体質が変化するの。それも小さな変化ではなくて、人間が本来できない事とかができる様になったり、体に異変が出たりとか。そして、それにはきっかけがある。何かを求めた結果…とか。何かに絶望した…とか。そんな人が感情が不安定な時にできるのが、五次元なの。でも本来、他人の五次元は誰も干渉することができないの。そもそも、五次元は本人が見てる夢みたいなものだから。」

「…じゃあ、ここは。」

またもや春輝は、疑問に思ったことを櫁夢に問いかける。

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