自分達が伝えたいと
『私も、本音を言わせてもらえば、自分の両親のことは面倒見たいとか一ミリも思えないっていうのはあるんだよ』
アオのその言葉に、子供達は悲しそうな表情になった。
「結局、そういうことなのかなあ……」
「だろうね。『子供が親の面倒見るのが当たり前』かどうかじゃなく、困ってたら手助けしたい相手かどうかってことに尽きると思うんだよ」
すると
「わざわざ、『子供が歳取った親の面倒を見るのは当たり前』『育ててもらった恩を返すのが当たり前』って言わなきゃいけないところに<闇>を感じるよ。
だって僕らは、誰も、『親の面倒とか見たくない!』とも『恩とか感じない!』とか言ってないじゃん。
それって結局、お父さんのこともお母さんのことも好きだからだよ。
好きな人が困ってたら助けたいなって思うのが普通じゃん」
と加わる。そこに、
「世の中には、『親なんて子供に嫌われてなんぼ』みたいな考え方もあるみたいだけど、それがもうおかしいよね。それって要するに自分が上手くできないのをさも普遍的なことにすり替えようとしてるっていう印象しかない」
すると恵莉花も、
「子供が<悪さ>したら叱るのなんて別に当たり前だよ。子供からしたって<悪さ>したら叱られるのは分かってるよ。それを恨みになんて思わないよ。
そりゃ叱られて気分良いわけないけど、自分が悪いことしたんだからそこは自業自得じゃん。問題なのは、理由も訊かずに頭ごなしに筋違いなことでガミガミ言ってくるとかの場合だと思うんだよ」
ぐい、と身を乗り出して言う。
それを受けて
「あ~、そういうのってムカつくよね。テレビとか見ててもさ、『怒る前にちゃんと理由訊いたげなよ!』ってシーンがあったりすると、『こんな親、人として未熟じゃん! 大人なんて言えないじゃん! <歳取って体がでかいだけの子供>じゃん! 子供が反発するの当然じゃん!!』って思っちゃう」
手をひらひらさせながら言った。
「……」
そんな子供達の様子を、アオとミハエルが見守る。
自分達が伝えたいと思っていること、子供達に理解してほしいと思っていることがきちんと伝わっているかどうかを、こうやって確かめている。
今回は口を挟む必要がなかったからあまり言わなかったものの、ここで、子供達が誰かを傷付けようとしていたり、『傷付けるのが当たり前』的な言動をしていたら、それの何が問題なのかを、じっくりと説明するところなのだった。
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