第7話イチゴの友情
「ももちゃん!これは、違うの! 」
何とか真っ赤になって怒っているももちゃんに落ち着いてもらおうと頑張ったが当然無駄だった。
「何が違うのよ! こんなにしゅうたと近づいて違うわけないじゃない!! 私がしゅうたに恋してる間あんたはずっと心の中で笑っていたのね!? あの勇気をくれた言葉もなんとも思ってなかったんでしょ!! 全部嘘なんでしょ!!」ととても怒られた。
ももちゃんに見られたらまずいとは思ったもののこんなに怒られるとは思っていなかった。
そりゃそうだ、私の言葉を信じて元気になってくれた、信頼してくれた。それらを今一気に失った。
「ももちゃん!待って!! 」と言ったが、
「待たない! 二度と口聞かないで! 」と言われた。
そしてももちゃんは家の中に入り鍵を閉めた。
しゅうたくんは今何が起こったかわかっていないはず。
私は全てを説明した。しゅうたくんが女子にモテていることからももちゃんは嫉妬してしまったこと、その後しゅうたくんとはなせて笑顔を取り戻せたこと、中学の時からしゅうたくんのことが好きだったこと。
このことを説明している間、しゅうたくんは真剣に話を聞いてくれた。
そのあとは3人で落ち着くためにそれぞれの家に帰った。
次の日から、何度もももちゃんに話しかけたが無視をされるままだった。
どんなに話してもどんなに謝っても無視をされるだけだった。何なら迷惑だと言っているかのような目で私を見た。
私はずっと家で泣いていた。ずっとずっと。
そして翌朝、ももちゃんとしゅうたくんの下駄箱に手紙を入れて、2人に屋上に来てほしいと書いた。
ー放課後ー
「あの、このままだと誰も良い気分にはなれないから、2人を呼び出したの......。私の話、聞いてくれる? 」
しゅうたくんはおう! と言ってくれた。ももちゃんは黙ったままだったが、話してもいいよと目で伝えてくれた。
「私は、ももちゃんやしゅうたくんのように、可愛くてかっこいい人間じゃない。それでも、2人から話しかけてくれたことが嬉しかった。中学の時、友達がいなかったから友達が出来たらどう接すればいいんだろうと考えたの。でも、2人は明るく優しく話しかけてくれた。それだけで嬉しかった、毎日が楽しかったの。だから、ももちゃんにしゅうたくんに告白された所を見られた時は、ももちゃんを失ってしまうことが本当に怖かった。
これだけ、ももちゃんのこと大切に思ってるの。しゅうたくんも見た目とてもいかついけれど、話してみるととても優しい人なの。3人で何気ない会話をすることや、一緒に学校へ行って一緒に帰ることが人生でいちばん幸せな日々だった。これだけ楽しいのに、気まずい関係なんて嫌だ! たまにはこうやって喧嘩をしてしまう時もあるけれど、すぐに仲直りしていつまでも3人でいたい! このメンバーじゃないと嫌だ! みんな大好きだから! 」と自分の思いを伝えた。
すると、ももちゃんは泣きながらごめんね、ごめんね......と言ってくれた。しゅうたくんもありがとうと言ってくれた。
私たち3人は屋上で泣きながら抱きしめ合い、いつまでも一緒にいることを誓った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます