第5話 イチゴの気づかい
「ももちゃんおはよう! 」
「あ、いちごちゃんおはよー! 」
2人で挨拶をした後、しゅうたが教室に入ってきたので、ももちゃんが挨拶をしようとしゅうたの方へ行った。だが、女子にモテるしゅうたはすぐに女子に囲まれキャッキャッと言われている。ももちゃんの方を見てみると、明らかに嫉妬しているような目で女子を見ていた。
私は、すぐに人の顔色をうかがう癖があるので、人の表情で今どう思ってるのかって言うのは何となくわかる。だからこそ、こういう時ももちゃんを、励ましてそばにいて応援してあげたい。
「ももちゃん、しゅうたくんに一緒に挨拶しよう? 」と言ったが、
「別にいいよ。後で挨拶すればいいんだから」と言われた。
私は好きな人できたことがないので分からない。でも、ももちゃんの役に立ちたい。そう思ったのに......。やっぱり今は嫉妬している自分が嫌になったのだろう、少しだけそっとしておこう。
1時間目、2時間目が終わってもももちゃんが挨拶することはなかった。しゅうたくんの方も朝よりも女子の人数が増えている気がする。しゅうたくん気づけ!と思ったが、女子に囲まれて大変そうだ。
「ももちゃ......」と言いかけた時、ももちゃんは逃げ出してしまった。私は追いかけて、学校の裏庭でももちゃんの腕をつかみ、「女子に嫉妬しちゃったの? 」と聞いた。そしてももちゃんの顔を見ると、顔を赤くさせ半泣きでうつむいていた。
「ねぇ、なんでしゅうたくんに挨拶しないの? 話さないの ......? 」と言うと、
「私......辛い......。女子みんなからモテることはもうわかってる。中学生の時だってそうだった、同じ状況だったの。その時はしゅうたのことは好きじゃなかった。でもね、中学校3年生の冬、特別扱いされたみたいに惚れちゃって......。急な事だった。私バカよね」
とももちゃんの口から出てきた。こんなにネガティブな発言をするとは思わなかった。
しばらく黙ったままだったが、私はすぐに
「馬鹿じゃない! 恋をする女の子が嫉妬するのは、馬鹿じゃない。急に惚れるのも、特別扱いされて嬉しいことも、ぜーーーーーんぶ馬鹿じゃない! ももちゃんは今素敵な恋をしてるよ! 言っとくけど、私が羨ましいくらいだよ。私は恋をしたことがないの。だからとっても羨ましい! 綺麗になれるもの! 自分を変えられるもの! 」と力強くももちゃんに伝えた。
「いちごちゃん......。ありがとう! 私、嫉妬しただけでなにもかも嫌になってた。でも、今のいちごちゃんの言葉を聞いて元気が出てきた! 私頑張るよ! 」と言ってくれて、とても嬉しかった。
そして教室に戻り、ももちゃんはしゅうたくんに話しかけた。
「しゅうた! 今日も一緒に帰るよ! 覚えといてね! 」するとしゅうたくんは笑って、おう! と言った。ももちゃんとしゅうたくんの仲が良くなって良かった。
そして3人で一緒に帰った。
家に着いた私は2人にメールを送った。
ももちゃんには《ももちゃん! 仲が深まってよかったね! また相談に乗るからね! 》と送り、しゅうたくんには
《しゅうたくん、女子にモテすぎだよー! 学校にいても少しくらいは私たちと喋ってよ! それに、しゅうたくんは、ももちゃんには向かって笑っている時、2人とも幸せそうだった私も幸せだった。 まぁ、あまり私たちを放っておかないでよね! 》と送った。すると、2分後にしゅうたくんから返信が来て、《 俺たちの話してる姿見て幸せだったのか?嫉妬はしないのかよ 》ときた。
私は少し考えて、《どういうこと? もちろん幸せだよ?しゅうたくんは幸せじゃなかったの? 》と返した。すぐに返事が来て、
《 これでもわかんないのか?嫉妬しないのかよって言うことは俺はいちごのことが...... 》
続きは書いてあったが私はこれ以上見れなかった。
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