第18話 Bleu Clair
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その日はどこまでも澄んだ薄い水色の空が広がっていた。
珍しく正装姿の蒼と碧がいた。
光沢のあるネイビーのタキシードにシルバーグレーのアスコットタイとベスト
を身に着け、いつも襟足にかかる髪を無造作にしているだけの髪も、今日は
ワックスでオールバックにしていた。
元々、端正な顔立ちの蒼だったが、今は大人のセクシーさが増している。
隣に立つ碧は、蒼と同じネイビーのミモレ丈のフレアースカート。
総レースのパーティードレスはハイネックで手首まで綺麗にレースが施されている。
こちらも、いつもは下ろしている腰までのストレートの髪を、サイドから編み込んでアップにまとめていた。
二人共、仲睦まじい様子で蒼は碧の腰にさり気なく手を回している。
そんな二人の足元から「パパー、ママー」と呼ぶ可愛い声が聞こえた。
一歳半になる二人の愛息、
蒼と同じネイビーの子供用の半ズボンのタキシードに蝶ネクタイ。
蒼そっくりの顔立ちと蒼とは逆に左目尻にほくろがあった。
ここは有名ホテルの一室。
今日は、このホテルで蒼の画が有名なコンクールで大賞を取った授賞式パーティー
が行われる。
時間になり、親子三人で授賞式パーティーの行われる会場に向った。
パーティーでは、壇上に上がり言葉少なながらも感謝の言葉を言う蒼の姿に
碧は誇らしい気持ちで見つめていた。
パーティー会場には、今回受賞した蒼の作品が一番目立つ中央に飾られていた。
『蒼アオのシレーヌ』
そう題されたこの画は、三年前に蒼が碧に描いた画だった。
オリエンタルな雰囲気の緑がかった青の世界の中央に、岩に腰かける人魚の姿。
その顔は、慈愛に満ちた笑みを浮かべる碧だった。
今までの青一色の世界とは違い、青の中に温かみのある色彩で描かれた人魚・・・。
片腕に亜藍を抱きながら、蒼は碧の隣に立っていた。
すると碧が蒼の耳に口を近づけ囁いた。
「私は、とっても素敵な王子様に出会えて幸せです。」
少しはにかみながら言う碧に、蒼は誰にも気づかれないようにそっと額に口づけ
をした。
一人寂しく海の底で過ごしていた人魚は、海の泡ではなく、素敵な王子様の愛する
お妃さまになりました。
fin
青の世界のあなたと、記憶をなくした私との365日の恋物語 心寧 @coco-ne
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